導入のポイント
富山西総合病院は、5年前に移転。地域からの信頼や大学病院との提携により、外来患者も増え、病床の稼働率も増加。
入院説明を行う地域サポートセンターは、年々業務量が増加。残業が常態化しスタッフの疲弊が大きいことから、入院説明を動画化する目的で「ポケさぽ」を導入。
入院説明を動画化したことで、スタッフに余裕が生まれ、働きやすい職場へ。患者さんに動画を見ていただくことで、細かな作業時間を確保でき、夕方に事務作業を溜め込む必要がなくなりました。
お客様情報
富山西総合病院 様
事務長 藤田 様、地域サポートセンター課長 吉野様
― 今日はお時間をいただき、ありがとうございます。はじめに富山西総合病院について教えていただけますでしょうか?
富山西総合病院は2018年にできた急性期病院です。もともとは、いまある場所から10kmほど離れた場所で八尾総合病院という名前で運営していました。前身の病院の機能を継承し、地域に密着した急性期病院です。
― 富山西総合病院の特徴はどういうところでしょうか?
特徴的な部分として、乳がんは県内でもTOPレベルの手術件数です。直近では整形外科の人工関節置換術の症例が増えてきているところです。
また、移転をきっかけに、富山市の基幹病院と距離が近くなったこともあり、富山大学附属病院等の超急性期病院との連携を強化しました。インテンシブな治療を終えた患者さんを我々のところに送っていただき、富山西総合病院にて継続的な治療やリハビリ、退院調整を提供するという取り組みを行なっています。
― 自院の集患と地域連携を戦略的に実施されていて素晴らしいですね。移転されて病院も新しいという状況で、「ポケさぽ」にお問い合わせいただいた背景を教えていただけますか?
年間の入院患者さんが増えていく中で、入院説明を担当する地域サポートセンターが本当に大変になってきた、というのが話のきっかけでした。
移転後から少しずつ地域からの信頼を獲得し、患者さんも増えてきました。同時に、これまでは病院で治療していたような亜急性期的な疾患が地域の介護施設でケアされるようになり入院期間の長い患者さんが減ってきました。つまり病床回転率があがってきて、入院患者さんの入り口である地域サポートセンターの体制に改善が求められていました。
― 地域サポートセンターの大変な状況について、もう少し教えていただけますか?
すべての入院説明を口頭で患者さんに行なっていたときは、事務仕事を夕方に寄せることが多く、残業が常態化していました。
口頭のみで入院説明すると、理解力や認知力が高くない患者さんの場合、スタッフも疲弊してしまいます。
また、平均すると1日10人の入院説明ですが、入院には曜日ごとの波があり、1日20人以上をご案内することも少なくなく、スタッフ間でも休みを取りにくい雰囲気があったと思います。
業務に波がある状態で、単にスタッフを増員するというのは、根本的な解決につながらないと考え、「ポケさぽ」というITに頼ることにしました。
― 実際にポケさぽを導入して、起こった変化を教えてください。
ポケさぽの利用を開始して、まず得られたのは、患者さんとそのご家族からの安心感です。
うちの地域サポートセンターの入院説明では、入院に関するご理解とご納得を目的にしていますが、患者さんがいざご帰宅すると内容をご理解していないケースもございます。
ポケさぽによって、入院説明をご自宅からQRコードで閲覧できるようになったことで、患者さんが聞いた説明と同じ内容をご家族も見られることになり、それが安心感に繋がっています。
職員のほうにも変化がありました。
入院説明を動画で見ていただいている間に、資料の準備やカルテへの記載、その他の細々した業務を進められるという、時間的な余裕が生まれました。
地域サポートセンターの業務の波をポケさぽで解消しつつ、最低限のスタッフの増員(1名)も行ない、体制的に安定し残業の常態化も解消されました。
体制が安定したことで、部署の雰囲気も好転したように思えます。細かな作業時間を確保でき、夕方に事務作業を溜め込む必要がなくなったのは大きいです。
― ポケさぽは患者説明の動画化と同時に、LINEで繋がれるのを売りにしていますが、、、富山西総合病院ではLINEを使わず、動画のみで運用を組まれています。その背景は何でしょうか?
富山西総合病院は、患者さんの年齢層も高いので、顔を合わせて話したり、電話をしたりすることを大切にしたいと考えています。
加えて、当院は150床規模の病院で、少ない人数で入院説明を行っているので、対面・電話とは別にLINEというコミュニケーションチャネルまで増えると、運用が複雑化することが予想されました。
そこで
病院のタブレットに入院説明動画を地域サポートセンターで見ていただく
ご家族が家から入院説明動画を見られるように閲覧用QRコードを配る
という運用にしました。
窓口でご案内しているスタッフさんに話を訊きました
地域サポートセンター 中屋様
― タブレットでの動画視聴 および QRコード配布を行なうことで、起こった業務の変化はありますか?
入院説明を話し続けるというのは、体力的にも精神的にも大変です。タブレットによる動画視聴を挟むことで、話すことを休みながら、動画視聴中に自分たちの仕事を少しずつでもこなせるので、とても助かっています。
― 少しずつの時間が生まれるだけでも、変化は感じますか?
はい、感じます。実際、わたしたちは説明をするだけでなく、説明をしたことや患者さんの理解を得られたことを電子カルテに記録しています。お渡しする書類の準備なども進めることができます。小さなことですが、それらを進められるのは大きく、ポケさぽ導入前と後では精神的な余裕が全然違います。
地域サポートセンター 山敷様
― タブレットでの動画視聴 および QRコード配布を行なうことで、起こった業務の変化はありますか?
患者さんが動画を視聴されている間に自分自身の仕事を進められているので助かっていますが、同時に患者さんから「こんな時代になって、便利ね~」というお声もいただいています。
― 皆さん、少しずつどんな仕事を進められているのですか?
患者さんが動画を視聴されている間に、まずは患者さんのカルテをまとめます。カルテを早くまとめ終わったときは、自分の担当業務である「紹介状の紹介元の集計をする」仕事などをしています。
他の同僚は、逆紹介のチェックをしたり、返書管理の仕事をしたりなど、入院説明と同時進行で仕事を進められるのはありがたいです。
今後の富山西総合病院について
― 最後に、富山西総合病院の目指す病院経営やIT化についてご教示願えますか。
富山西総合病院の外来患者は右肩上がりに増えていますが、忙しくなると業務を「こなす」ことが優先になってしまいがちです。流れ作業にならないようにどう個別性をもたせるか、というのが鍵だと考えています。
同時に、地域全体の人口は減っているので、単純に業務量に応じて増員していくのは難しくなることも認識しています。
だからこそ、機械(IT)でできることは機械に。さらには人じゃないと難しいもの以外は機械へ、としたいです。
機械化することで、スタッフに余裕が生まれます。その余裕によって、スタッフ自身が課題を見つけ、上長や組織に話せるようになります。それらの課題を改善していくことが組織のレベルアップにつながります。
そういう環境にすれば、人(採用)が集まってくる病院になると考えていて、今はそれを目指しています。
― 今日はお話を聞かせていただき、ありがとうございました。地域サポートセンターの皆さんや藤田事務長、吉野課長がイキイキとお話される姿がとても印象的でした。