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病院DXの初めの一歩は、妊娠期間の定型コミュニケーションから | 病院リーダーシップインタビュー④ 聖路加国際病院 鈴木看護部長

患者説明を動画とメッセージで半自動化する「ポケさぽ」を提供するOPEReでは、ポケさぽの導入事例に加えて、病院運営に役立つノウハウの発信を行なっています。

 

「病院リーダーシップインタビュー」では、ポケさぽをご導入いただいた医療機関の経営層の皆さんに意思決定・組織運営にまつわる話を伺っていきます。

 

ポケさぽを導入いただいている聖路加国際病院は、日本看護協会が運営する「看護業務の効率化先進事例アワード2023」において、産科でのポケさぽを活用した妊婦への説明と情報提供について、最優秀賞を受賞されました。この度、受賞に際して、聖路加国際病院の鈴木看護部長と産科で働く助産師のみなさんにインタビューを行ないました。


本編は、前編として、鈴木看護部長への病院リーダーシップインタビューをお届けします。




― この度は、「看護業務の効率化先進事例アワード2023」において最優秀賞のご受賞、おめでとうございます。

 

ありがとうございます。2023年に導入したポケさぽを活用して実践している活動が、このような形で評価され、本当に嬉しいです。


ウェブサイト「看護業務効率化 先進事例収集・周知事業ポータルサイト」より
ウェブサイト「看護業務効率化 先進事例収集・周知事業ポータルサイト」より

― 今回は、アワード受賞記念ということで、インタビューさせていただきます。よろしくお願いいたします。初めに、ポケさぽを初めに見たときの印象を教えていただけますか?

 

ポケさぽ以前に、日ごろから医療業界のICT活用・DXは他業界より遅れていると感じていて医療の外にあるものをうまく活用できないかなと考えていました。

 

例をあげると、飛行機に乗るときの事前情報の通知はとても便利で、それを病院の案内に使えないかなどです。

 

ポケさぽを初めてみたとき、「LINEは日常的によく使っているし、メッセージを受け取った感じがあってすごく良い。」と思いました。

同時に看護領域におけるICT活用・DXは、収支につなげるのが難しいことも考えると、そこまで大きな投資をせずに始められるポケさぽは、大変魅力的に感じました。すぐに産科で活用できそう、活用したいと思いました。

 


― どうして産科*なら活用できそうと思われたのですか?

* 聖路加国際病院では、女性総合診療部という診療部門で診療を提供しています。

 

出産をするということは、妊娠の決められた期間の中で、自分の体の変化や赤ちゃんに関すること、出産の準備など、妊婦さんに伝えないといけないことがたくさんあります。その内容は定型的な部分が多くあります。

定型的な説明に助産師の時間を使うのも、なんだかもったいないなというのも考えていたところでした。

同時に、産科の外来部門では、問い合わせの電話が多く対応が大変というのも知っていました。

 

そんなところにポケさぽを紹介してもらったので、定型的なコミュニケーションはポケさぽに寄せて、個別の対応に助産師の時間を充てられそうだなと思いました。



― 鈴木看護部長が良いなと思ってから、どのようにして現場や周りを巻き込んで、ポケさぽ導入を進められたのでしょうか?

 

ポケさぽを知ってから、産科病棟と外来のナースマネジャーに紹介してみると、すごくポジティブな反応でした。助産師チームの実力も良く分かっていたので、一番手を任せられると思いました。

 

そこで、経営企画室を巻き込み、経営企画室と院長や副院長とで行っている会議にOPEReさんのプレゼンを強引に入れ込みました。とにかく早く確実に成功が見える良いDX事例をひとつ作り、現場の職員にしめし、良い方向につなげたいという思いが強くありました。


実際のポケさぽの画面(LINEの背景は利用者のもの)

― 今回、ポケさぽを活用した妊婦への説明と情報提供が、アワード最優秀賞受賞となったわけですが、成功要因をどう考えられていますか?

 

成功の要因として、いくつかありますが、取り組んでくれたチームがとてもよかったと思います。

産科に関わる看護管理者やスタッフに加えて、副看護部長がリーダーシップを発揮してくれたのも大きかったです。多職種のみなさんも、大変協力的でした。

 

スモールスタートとして、病院全体の運用を巻き込まず、産科のみに適用して開始できたのも、導入から運用開始までスピーディーに行うことができた要因です。

 

オールインワンでなんでもできるシステムについて腰を据えて考えたいという話も出ましたが、現場にメリットがあるものを早く開始させる、ということを優先しました。



― 今後のポケさぽについても教えてください。産科の次は、どういう活用をお考えですか?

 

聖路加国際病院の乳腺外科は、医療圏の中でもTOPクラスの手術数なので、乳腺外科での活用により、患者さんの利便性があがればいいなと考えています。

 

他には、入退院支援も考えていますし、ガン治療のオンコロジーセンター、外来での検査説明、健診センターなどでの活用も可能性としては沢山あります。

 

ただ、どういう優先順位で誰がリーダーをやるのか、という組織的な課題もあるのが正直なところです。

 

 

― ICT化・DXを進めるのに、課題もあるんですね…

 

いまの病院というのは専門分化していて、病院の全体を把握して意思決定するのがとても難しいです。

どの部門・どの診療科にも配置されているのが看護師なので、全体的な情報は看護部に集まってきますが、ICT化・DXを看護部だけが主導できるか・するかというと、それもちょっと違うな…と。

 

組織的課題に加えて、医療が高度化していくにつれて、複合的な数値データを分析して判断していかないといけなくなっています。

単独の数値を集計して判断することができますが、複合的なデータをどう扱っていくかというのは、まだまだ未知の領域であり、課題ですね。



― 最後に、聖路加国際病院の看護DXの未来について教えていただけますか。

 

私たちのICT化・DXは始まったばかりで、ナースコールの刷新やバイタルサインの電子カルテ連携など、他院で導入が進んでいる事例を後追いしていることも少なくありません。

 

同時に、病院の重点課題として、収益・利益の増加のために、病床稼働率の向上や手術件数の増加を掲げていますが、看護部に期待される部分も大きいです。

 

結果を出さないといけない経営的な課題に対しても、課題を解決するための戦略のひとつとして、ICT・DXを使って現場をどうサポートしていくかが大事だと考えています。

 

 

本日はお忙しい中、貴重なお話ありがとうございました。

 

このあと、助産師のみんなへのインタビューですよね。具体的なエピソードは、彼女たちにぜひ訊いてみてください。

 

 

後編はこちらから


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