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入院案内のその先へ PFMセンターのメリットと具体例 | PFMノート①

こんにちは、オペリブログにアクセスいただき、ありがとうございます。

OPEReのコサコです。

オペリブログでは、医療機関の組織運営や業務改善にまつわるトピックを発信していきます。


今回のトピックは、「入院案内のその先へ PFMセンターのメリットと具体例」です。


入院案内は、多くの病院職員にとって身近な業務の1つではないでしょうか。そんな入院案内を、最近「PFMセンター」の職員が実施することが増えてきました。

この記事では、初めに入院案内やPFMについて説明し、その後PFMセンターを立ち上げるメリットについてお話しします。


【この記事を読んでわかること】
・ 入院案内とPFMセンターの概要
・ PFMセンターのメリット
・ PFMセンターの具体例


入院案内とは?


入院機能のある医療機関において、どんな施設でも存在する役割のひとつが「入院案内」です。主に急性期の医療機関では、下記の図のように患者が流れていきます。

急性期の医療機関の入口は、「紹介」「救急」「直接予約」などがあります。

患者が外来で診察や検査を受け、入院や手術を行なうことになった際に、医療機関が患者に実施するのが「入院案内」です。

入院案内では、患者が入院する前に、治療などを含む医療のことや、医療外のことである診療報酬や病院方針、部屋代などについての説明を行います。



PFMとは?


Patinet Flow Management(以下、PFM)は病院経営改善のひとつの手段としてあげられる概念です。

PFMは、以下の図で示す「医療機関の入り口(外来での初診)から出口(術後の退院など)」までを管理して、病院経営を向上させる考え方です。

PFMの考え方を実際に実行する組織のことを、PFMセンターと呼びます。

入院案内はどの入院パターンでも実施されており、病院全体のPFMに大きく影響します。


ただ「医療機関の入り口(外来での初診)から出口(術後の退院など)」までのすべてを管理するのは、難易度も高く運用も大変です。そのため多くの医療機関では、入院案内をPFM介入のポイントとしておいています。それを専門部署として実践しているのがPFMセンターです。


ここからは、入院案内業務に留まらず、より業務範囲の広いPFMセンターが医療機関にどのようなメリットをもたらすかについて紹介します。



PFMセンターの業務とメリット


入院案内をPFMの介入開始のポイントとしている日本のPFMセンターは、以下の3つの業務を担っています。

  1. 入院準備の支援 

  2. 入院医療の充実

  3. 早期介入による入院期間短縮


上記3つの業務をワンストップで管理することで、予定入院患者の情報を事前に把握し早期に問題を解決するとともに、医療機関の病床稼働を最適かつ効率的に運用することが可能になります。


通常の入院案内とPFMセンターで業務を集約した場合の以下の2つの図を、ご覧ください(弊社作成)。


通常の入院案内の場合

病棟看護師は患者が入院してから情報収集を行うため、気づいた人が気づいたタイミングで適切な部署(図の中では、栄養科やソーシャルワーカー)と連絡を取ります。加算等のスクリーニングも、病棟の看護師が実施します。これは看護師ひとりひとりの業務負荷になると同時に、管理者である師長や主任の多くの管理工数を必要とします。


PFMセンターに業務を集約する場合

病棟看護師が行なっていた入院後の情報収集を、入院前に行い、入院計画を立てます。今まで病棟からの連絡で患者への介入を行なっていた栄養士やソーシャルワーカーの方にとっては、入院する前に介入要否がわかります。そのため、業務の事前準備を行うことができ、より効率的な働き方を実施することができます。検査や加算のスクリーニングも、入院前にまとめて行うため、対象者をとらえやすい、早期介入が可能になる、外来収益につながる など、収益面でもメリットが大きくなります。



どんな医療機関がPFMセンターを設置しているの?


ここまで、PFMセンターの良い部分を読んでいただきましたが、こんな疑問を持たれる方もいるかと思います。


「メリットはわかったけど、実現している医療機関はあるの・・・?」


そこで、PFMセンター設置している医療機関を、2つ紹介します。

  • 東海大学医学部付属病院

  • 佐久医療センター


PFMセンターの始まりは、東海大学医学部付属病院です。田中豊医師が1999年にPFMを命名したと言われています*1。2006年の新病院開院と同時に、PFMセンターを全面稼働させました。

2022年4月時点の、東海大学付属病院のウェブページには、以下の説明と挿絵があります。*2

患者支援センターは、地域医療機関・施設からの紹介患者さんをサポートする部門です。「患者支援センター」では、医師・看護師・医療ソーシャルワーカー・管理栄養士・薬剤師等コメディカルと事務職員が協働して、地域医療機関・施設からの紹介患者さんの受診から入院、退院後の生活まで、安心した療養が受けられるよう、サポートしております。 (参照:東海大学医学部付属病院 患者支援センター)

続いては、長野にある佐久医療センターです

佐久医療センターでは「患者サポートセンター」という部署がPFM(PatientFlowManagement)をしています。


患者サポートセンターは、センター長(診療部)、入院支援室、地域医療連携室、持参薬管理室、外来栄養相談室、医療福祉相談室、医事課をひとつにした70名近い人数で構成されています。人数からも、佐久医療センターがPFMを病院経営の中枢に置いていることがわかるのではないでしょうか。

佐久医療センターの場合、医師が入院・手術を決定すると同時に患者サポートセンターの介入がはじまります。病歴確認から検査対応、入院におけるパスや説明、かかりつけ医への連絡、周術期周りのアセスメントやスクリーニング、入院準備支援等を行なっています。*3

佐久医療センターのPFMは、様々な雑誌でも取り上げられており、「お手本」とも言える事例でしょう。



PFMセンターの3つのフェーズ


こうした医療機関の成功事例を受け、2018年度にPFMは診療報酬としての評価を受けるようになりました(入院時支援加算)。現在は急性期病院の約7割の施設が入院時支援加算を取得しており、多くの病院にPFMセンターが設置されていることがわかります*4。※急性期入院料1


急激に増加したPFMセンターですが、あまりにも急激に増えたこともあり、医療機関によって、担当する業務やその範囲はまちまちです。

オペリでは、日本のPFMセンターのフェーズは、「集約フェーズ」「機能拡大フェーズ」「経営大幅改善フェーズ」の3つがあると考えています(2022年5月時点)。

1. 集約フェーズ

多くの病院が該当するのが、集約フェーズです。このフェーズのPFMセンターでは、入院時支援加算の施設基準に則り「入院前に患者情報を収集する」「情報をもとに計画を立てる」「入院案内業務を実施する」ことが主な業務となっています。体制は施設基準に沿って、1~3人ほどのスタッフで構成される独立した組織になっていることが多いです。


2. 機能拡大フェーズ

2つ目の「機能拡大マネジメント」フェーズでは、「術前検査」「加算・指導料のスクリーニング」など入院医療の一部も担っています。

具体的には、入院中であれば包括されてしまう検査を外来で実施することにより、「入院コスト」を「外来収益」に転換する取り組みを行なっています。加算・指導料に関しても、対象症例を確実にとらえ早期からの算定開始につなげることで、病院収益に貢献しています。業務内容から、スタッフを拡充している施設が多くなるのも特長です。


3. 経営大幅拡大フェーズ

3つ目の「経営大幅改善」フェーズでは、「医師業務のタスクシフト」「指導料・加算の算定」「フロー最適化によるベッドコントロールの改善」などを実行し、PFMセンターが病院経営に大きなインパクトを与えます。スタッフの数もかなり多くなっていますが、病床回転率の向上等にも貢献し、病院経営に億単位での効果を与えることも、少なくありません。



まとめ


今回の記事では、「入院案内のその先へ PFMセンターのメリットと具体例」について、説明しました。


入院機能のある医療施設では当たり前のように行われている入院案内業務。

医療機関は入院案内をPFMの介入開始のポイントとして、患者の入院の流れをワンストップで管理することで、予定入院患者の情報を事前に把握し早期に問題を解決するとともに、病床管理の効率的な運営も可能にできます。


経営改善のひとつの手法として、PFMセンターの役割や業務を再度見直してみるのはいかがでしょうか?


参照

  1. PFM (医療) https://ja.wikipedia.org/wiki/PFM_(%E5%8C%BB%E7%99%82)

  2. 東海大学医学部付属病院 患者支援センター https://www.fuzoku-hosp.tokai.ac.jp/service/kanja/

  3. HOSPITAL VIEW Vol.41 (2020年3月) https://www.jbpo.or.jp/med/jb_square/hospital/pdf/HV41.pdf

  4. 令和3年度 第5回 入院医療等の調査・評価分科資料https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000823767.pdf