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病院経営におけるフィッシュボーンチャートの活用法〜PFM改善のための課題整理〜 | PFMノート③

こんにちは、オペリブログにアクセスいただき、ありがとうございます。

OPEReのコサコです。


オペリブログでは、医療機関の組織運営や業務改善にまつわるトピックを発信していきます。

過去2回、病院経営改善のひとつの手段としてPatinet Flow Management(以下、PFM)を取り上げてきました。


今回は、PFMノート③として「病院経営におけるフィッシュボーンチャートの活用法〜PFM改善のための課題整理〜」をお送りします。


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病院経営におけるフィッシュボーンチャートの活用法〜PFM改善のための課題整理〜

病院でのプロジェクト管理における課題整理


病院では多種多様のプロジェクトがあります。プロジェクトの序盤では以下の手法で課題を整理することが多いのではないでしょうか。

  • フローチャート

  • ロジックツリー

  • 2×2のマトリックス

病院におけるプロジェクト管理のフレームワーク例
筆者作成

実際に、私自身も病院での勤務経験の中で、運用上の課題を整理したり収益改善のための提案をおこなったりする際に、このような整理手法を使っていました。



課題整理手法:フィッシュボーンチャート


フローチャート、ロジックツリー、2×2のマトリックスの他にも、課題を整理する手法はございますが、今回のブログでは、フィッシュボーンチャートについてご説明します。

フィッシュボーンチャートとは、「現在の結果」(特性)がどのような要因で発生したのかを図式化したもの。魚の骨に似た形なので、フィッシュボーンと呼ばれます。特性と要因をまとめたものなので、「特性要因図」とも。 (中略) 工場の技術者から上がった「問題に対して原因が多すぎ、整理できない」という声に応えて誕生したのだそう。 (武山和正、“フィッシュボーンチャートとは? 初心者でも3ステップで完成!”)

図としてイメージしやすいように、以下の『特性要因図「入院オリエンテーションが終わらない」』をご紹介します。


株式会社麻生が有する飯塚病院の、待ち時間を改善した書籍「カイゼン型病院経営: 待ち時間ゼロへの挑戦(麻生泰 著)」の中で、入院オリエンテーションの待ち時間改善事例の図としてフィッシュボーンチャートが使われていました。


--引用--

入院オリエンテーションの待ち時間改善事例の図
引用元:麻生 泰, "カイゼン型病院経営: 待ち時間ゼロへの挑戦", p.77, 図II-4 特性要因図「入院オリエンテーションがスムーズに終わらない」 ----

PFM改善に、フィッシュボーンチャートを活用する理由


PFMについての復習


Patinet Flow Management(以下、PFM)は病院経営改善の手段のひとつで、以下の図で示す「医療機関の入り口(外来での初診)から出口(術後の退院など)」までを管理して、病院経営を向上させる考え方です。

患者の流れ(主に急性期)

入退院に関する業務を横断的に管理することで、予定入院患者の課題を事前に把握し早期介入するとともに、医療機関の病床稼働を最適かつ効率的に運用できるようになります。



PFM改善の難しさ


PFMを司る部署であるPFMセンター(患者支援センター、入退院支援センター、患者サポートセンターなど)は、多くの場合、入院案内をPFM介入のポイントとして設置されています。


入院案内を中心に考えたとしても、PFMを行なうのは一筋縄では行きません。

理由は以下があげられます。

  • 全体効率を図ろうとすると前方連携から後方連携まで関係者が多すぎてしまう

  • 関係者が多い場合、組織の指示命令がスムーズに行かない*

  • PFMに関わる部署は、患者対面業務も多く、横断的なプロジェクトマネジメントをする人的・時間的余裕がない

  • 物理的な運用変更、書類の運用変更など、時間的コストも多く発生してしまう

* 病院の組織構造については、「委員会が変われば、病院が変わる」をご参照ください。


フィッシュボーンチャートを活用する理由


PFMは、医療機関の入り口(外来での初診)から出口(術後の退院など)までを管理しているがゆえに、改善の対象範囲が広いのが特徴です。


PFMを向上させるために、目の前の課題を解決したくなることがあるとは思います。ただ目の前の課題は全体のどこに位置し、課題の要因はどこにあるのかを特定しない限り、課題を解決したとしても時間をかけてその課題が再発する恐れがあります。


PFMを改善する初手として「フィッシュボーンチャートを使って整理して、インパクトの大きい要因を特定する」ステップを踏んでいれば、関係者の合意形成や実行のスピード・優先順位をよりよいものにできると考え、今回ブログでご紹介しました。



まとめ


今回のブログでは、PFMノート③として「病院経営におけるフィッシュボーンチャートの活用法〜PFM改善のための課題整理〜」をご紹介しました。


多くの部署を巻き込んだ形でPFMを行う場合、少し全員で全体感を整理した後に改善策を実行していけば、効果が出やすく、組織を良いサイクルに導くでしょう。


みなさんの委員会や改善活動のヒントになれば幸いです。



参考文献

  • Study Hacker 学び続けるビジネスパーソンへ, 「フィッシュボーンチャートとは? 初心者でも3ステップで完成!」, https://studyhacker.net/fishbone-diagram (2023.03.16)

  • 麻生泰(2015, 3)「カイゼン型病院経営: 待ち時間ゼロへの挑戦」, 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版). p. 77 図II-4 特性要因図「入院オリエンテーションがスムーズに終わらない」

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