top of page

入院前の患者さんとの非同期コミュニケーションの重要性と今後の「アナムネ・問診」機能 | ポケさぽ第1回ユーザー会 事例発表 川崎幸病院様

Patient Flow Management(PFM)をベースとした患者説明システム「ポケさぽ」。導入医療機関を対象に、株式会社OPERe(以下、OPERe)は、2024年5月24日にオンラインにてポケさぽ第1回ユーザー会を開催しました。


ユーザー会の中で、ポケさぽをすでに導入・運用している医療機関の中から、事例

発表としてポケさぽの活用についてお話しいただきました。



ご発表者

川崎幸病院 外観


全国トップの心臓手術件数を誇る急性期病院


川崎幸病院は、川崎市幸区を中心に川崎市南部及び横浜市北部を診療圏とする病院です。「患者主体・断らない」という法人の理念に徹底的にこだわり、3つの軸に力を入れています。1つ目は、世界トップクラスの脳心血管治療。2つ目は、地域で必要とされる内科・外科・産婦人科等の地域医療。3つ目は、法人理念に基づいた救急医療です。地域のニーズに応えながら、世界レベルの医療を展開しているのが特徴です。特に心臓血管手術の数が多く、入院および退院患者数が相当数います。



患者支援センターおよび入院支援センターについて


当院の患者支援センターは、入院が決まった患者さんとご家族をサポートします。治療を安心して受け、退院後も地域生活にスムーズに戻れるよう包括的に支援します。主な部署は以下の5つです。

  • 入退院支援科

  • 医療相談科

  • 地域医療連携室

  • 入院支援センター

  • 病床管理課

川崎幸病院患者支援センターのウェブサイトより

入院支援センターでは、看護師・薬剤師・管理栄養士・事務などの多職種スタッフが石心会グループ全体を施設横断で、患者さんを協働してサポートしています。入院前に患者さんの生活状況などをお伺いし、入院から退院、その後の在宅療養までの切れ目のない支援を心掛けています。

川崎幸病院の所属する石心会の入院支援センター


入院支援センターでのポケさぽ活用


この入院支援センターを立ち上げに併せて、ポケさぽを導入しています。入院説明、麻酔概要の説明、持ち物リストなどを患者さんに自動配信することにより、入院前から患者さんに寄り添う体制を整えています。

川崎幸病院でのポケさぽ活用の流れ(OPERe作成)

患者さんへのLINEを通じて行動制限を促したり、スマートフォンから動画説明を好きなタイミングで見ていただけたりする点がとても便利です。婦人科、乳腺外科の患者さんを対象に活用しております。

実際に利用している画面やコンテンツから抜粋


ポケさぽの利点は非同期コミュニケーションの促進


ポケさぽは、患者説明の非同期コミュニケーション化(オンデマンド化)を促進するツールです。具体的には、患者説明をコンテンツ配信するとともに、患者さんによるモバイルでの情報入力が可能になります。


患者さん側は必要な情報を見たい時に見ることができ、また病院側に質問したい時に問い合わせることができます。病院側もポケさぽ登録している患者さん情報を横断的に管理できます。


つまり、お互いに「非対面=非同期」でコミュニケーションし、必要な時に情報を収集しやりとりができる点が効果的だと考えています。



麻酔外来で、医師として「ポケさぽ」を活用してみて


ポケさぽを導入する前は、麻酔外来で患者さんに直接麻酔や術前の説明をすれば良いと考えていました。

しかし、「ポケさぽ」で患者さんに説明コンテンツを配信してみると、対面での説明と、患者さんが自分の好きな時に自由に説明を見られることは全く違うと分かりました。

当日の発表スライドをもとにOPEReが作成

ポケさぽを使わない場合、手術が決まった時、患者さんは精神的に不安定で、初めて聞く用語を含む説明を一度で理解するのは難しいです。また説明を受ける内容も自分のことというより、一般的な話が主になってしまいます。

また医療者は、同じ内容を繰り返し何度も話すことに時間が使い、説明内容にもブレが生じてしまうこともあります。


ポケさぽを使えば、患者さんは自分のタイミングで「納得するまで」説明を繰り返し確認できます。説明を見た患者さんは、事前に質問をすることもでき、基本知識を持った状態で、麻酔外来の対面説明に臨めます。

医療者も、説明内容をオンデマンド化することで、説明のばらつきをなくし、クオリティを安定化できます。オンデマンド化により、患者さんの特有の情報に焦点を当てた話ができ、以前よりも効率的に説明を進行できるようになったと感じています。



ポケさぽを活用した「アナムネ・問診」機能


今後にむけて、ポケさぽを説明業務だけに使うのではなく、患者さんがポケさぽで入力したアナムネ・問診情報をQRコードやコピー&ペースト機能を使って電子カルテに連携できる「患者情報取得」仕組みをOPEReさんと実験しています。


患者情報取得の課題に気づいたのは、自分自身の家族が入院患者になった経験を通してでした。


患者さんは

  • 同じことを何度も書く

  • 家族に手伝ってもらわないと書ききれない

  • 記入漏れや記入間違いが心配


医療者は

  • 良い医療を提供するため、安心安全な問診・診察・検査をしたい

このギャップを解消するために、ポケさぽの「アナムネ・問診」機能の開発に協力しました。


ポケさぽの「アナムネ・問診」機能では、

  • アナムネと複数の問診をまとめて1つのフォームにすることで、患者さんが同じ内容を複数回答える必要を無くしました。

  • 一方、医療者が閲覧する帳票は、もともとのデザインと同じものが出力されるようにしました。

  • また、それらの帳票および回答を電子カルテに格納し、コピー入力とQRコード入力を可能しています。


将来的には、外来受診から入院までに活用できる患者プロファイル情報を、医療者と「同期的」に情報共有できるようにしたいです。これにより、患者情報の正確性を保ちながら、情報共有の手間を減らし、医療者が患者ケアにもっと集中できる環境を作りたいと思います。


※ご参考
1)月刊 新医療2024年4月[特別寄稿]患者手書き情報の電子カルテへの自動取り込みの成果と期待:高山歩(川崎幸病院)
2)「入院前の患者情報取得による業務効率化および患者の医療体験向上に関する実証実験を川崎幸病院にて開始」サイトURL:https://corporate.epson/ja/news/2023/230421.html

--発表はここまで--


ユーザー会 事例発表 川崎幸病院様


川崎幸病院 患者支援センター長 高山先生の事例発表、いかがでしたでしょうか?

改めて発表をまとめると、以下の3点にまとめられます。


  • 入院支援センターでポケさぽを導入し、入院前の患者さんとの非同期コミュニケーションを促進

  • ポケさぽのメリットは、患者さんの納得感と医療者が患者特有の情報にフォーカスできること

  • アナムネ・問診機能により、患者情報を正確に取得しながらも医療者が患者ケアにより集中できる環境に


入院支援センターでのポケさぽ活用と利点、そして今後の展望を含めた事例発表でした。

川崎幸病院様に導入数ヶ月に実施したインタビューは、こちらからご覧いただけます。



ポケさぽの新機能「アナムネ・問診」を含む、ポケさぽ活用のウェビナーを開催


ポケさぽ導入病院様と一緒に、ポケさぽ活用に関するウェビナーを開催いたします。

導入病院として、福岡赤十字病院の外来師長、地域連携課課長 と 川崎幸病院の高山患者支援センター長にご登壇いただきます。


開催概要

セミナー名:患者説明・アナムネシステム「ポケさぽ」を用いたDigital PFMの実現に向けて〜福岡赤十字病院・川崎幸病院登壇〜【コトセラウェビナー】


開催日時:2024年09月19日(木) 17:00-18:00


プログラム詳細

株式会社OPEReは、患者さんへの説明に、LINEメッセージや動画・PDFなどのデジタル媒体を活用できるシステム「ポケさぽ」を提供しています。このサービスを提供する過程で患者さん向けのDXの「初めの一歩」に関わることが多いため、業務改善と密接に関わっています。ウェビナーの前半では、福岡赤十字病院の石橋直子氏と今村純二氏をお招きし「ポケさぽ」の患者説明機能を用いた事例を紹介いたします。 また、今秋には“アナムネ”機能をリリースし、医療機関のDigital PFMをより強力に支援していきます。そこでウェビナーの後半では、アナムネ機能開発に実証実験から協力している、川崎幸病院の麻酔科主任部長の高山渉氏をお招きし、機能の意図やPFMの重要性について説明いたします。


参加費:無料


定員数:1,000名


主催者:エム・シー・ヘルスケア株式会社


開催場所:オンライン






「ポケさぽ」に関する情報を継続的に発信して参ります。ご興味をもっていただけるようでしたら、記事の下にあるOPEReメルマガにぜひご登録ください。

Comments


bottom of page