2024年8月21日、株式会社OPERe(以下、OPERe)は、患者説明システム「ポケさぽ」の導入医療機関を対象に、ポケさぽ第2回ユーザー会をオンラインにて開催しました。
ポケさぽをすでに導入・運用している医療機関の中から、ポケさぽの活用に関して事例発表していただきました。
ご発表者
焼津市立総合病院
病床数:423床
入退院支援センター 副師長 石井 夕紀 様
焼津市立総合病院
焼津市立総合病院の入退院支援センター
総病床数 423床を有する焼津市立総合病院は、2023年度に入退院支援センターで対応した患者さんの数は、1263人でした。
2024年度は、以下の体制で、入退院支援センターを運営しています。
看護師:9名
医療事務:3名
歯科衛生士:1️名
理学療法士:1名
薬剤師:1名
入退院支援センターの業務と運用課題
焼津市立総合病院の入退院支援センターの業務は主に4つあります。
1つ目は、各外来にて在宅療養支援スクリーニングを実施し該当になった患者さんへの入院説明。
2つ目は、手術・外来化学療法対象の患者さんへ、栄養指導・口腔機能評価・呼吸訓練。
3つ目は、介護保険利用患者さんのための、ケアマネジャーへの連絡・情報確認・情報提供書のやりとり。
4つ目は、予定入院患者さんに対する、休薬日の前日の電話連絡と入院前日に体調確認の電話連絡。
これらの業務を行なうに当たっていくつかの運用課題がありました。
一番大きな課題は、入退院支援センターでの説明が必要な患者さんが、外来での待ち時間の影響もあって、疲労感で説明を1回で理解できないことが多かったことです。
その他、繰り返し同じ内容を説明することや説明内容の標準化されてなかったこと、個別の電話連絡の業務負荷などもありました。
入退院支援センターとして、「患者さんが安全に手術を受け、術後合併症を発症せず退院するには、入院前からの効果的な指導が重要」と考え、ポケさぽの導入に至りました。
手術室看護師主導の術前呼吸機能訓練
ポケさぽ導入のタイミングで、解決したい課題がありました。手術室看護師が外科全身麻酔患者さんを対象に行なっていた術前呼吸機能訓練です。
パンフレットをデジタル化しQRコードにして配布するなどの取り組みを行なっていましたが、緊急入院などにより手術室看護師が柔軟な対応が難しいこともあり、運用が難航していました。
発表資料から抜粋
手術室看護師が困っていた課題も、入退院支援センターで導入するポケさぽで含めてしまえば解決すると考え、「手術を受けられる皆様へ」と「ボルダインを使った呼吸訓練」の2つもコンテンツ化しました。
入退院支援センターで呼吸機能訓練動画を使った効果
現在、入退院支援センターでは、理学療法士スタッフが動画を使った呼吸機能訓練の指導を実施しています。
運用は、以下のとおりです。
呼吸訓練の指示がある患者に動画視聴していただく
視聴後に実際に呼吸訓練を行なう
記録用紙の記入方法の説明する
発表資料から抜粋
ポケさぽの導入により、動画そのものを作ったことと動画を持ち帰られるようになったことで、以下の効果がありました。
パンフレットで説明していたときは20分の時間を要していた説明が、10分までに短縮
また嬉しいお話として、高齢夫婦2人で来室された患者さんが、ポケさぽの登録用紙を持ち帰ることで、動画を自宅で息子夫婦が見ることができ、一緒に取り組むことができました。
これらの理由として、
動画は、イラストが多く、高齢患者さんでも理解しやすい内容と文字の大きさになっていること
実際に呼吸機能訓練を行なっている動画なので、患者さんがイメージしやすく習得がしやすくなったこと
自宅でわからない部分を繰り返し確認できる安心感を提供できていること
が挙げられます。
ポケさぽの運用方法
呼吸機能訓練対象の患者さんに動画を持ち帰っていただき、入院前に入退院支援センターから連絡をスムーズにするためには、ポケさぽに登録していただく必要があります。
以下の運用を行なっています。
入院説明の際に、医療事務がLINEで焼津市立総合病院のお友達登録について説明
携帯がない人や家族が登録する人は、QRコードが記載された案内用紙を配布
自宅で必ず視聴するように説明
入退院センターにはタブレット5台常設
医療事務の説明場所は2カ所、看護師の説明場所は4カ所
ただ、運用上のやるべきことも残っていて、LINEの登録がスムーズにいかない患者さんへのフォローの再考や、院内でのタブレット視聴の場所が確保できてないこと、パンフレットを中止しペーパレスを促進することなどに対応していく必要もあります。
--発表はここまで--
ユーザー会 事例発表 焼津市立総合病院様
焼津市立総合病院 入退院支援センターの石井様の事例発表、いかがでしたでしょうか?
改めて発表をまとめると、ポイントは以下の2点です。
ポケさぽ導入のタイミングで、手術室看護師の運用課題であった呼吸機能訓練を動画化し、入退院支援センターにて案内することに。
動画化により説明時間が短縮した効果もさることながら、自宅で動画視聴を可能にしたことで、患者さんやご家族に安心を提供できるようになった。
Patient Flow Managementの中心になる入退院支援センターにて、患者さんの理解度に配慮しながら、自部署の業務改善を行なった事例でした。
ポケさぽ第2回ユーザー会 事例発表では、以上です。第2回で発表された住友病院様の事例を詠まれてない方は、ぜひご一読ください。
第3回を開催した際は、引き続き記事していきます。よろしければ、記事の下にある、OPEReメルマガにぜひご登録ください!