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- できるところで最大限の効果を狙う。mini DXで突破していく | 病院リーダーシップインタビュー③ 同愛記念病院 西松副院長
患者説明を動画とメッセージで半自動化する「ポケさぽ」を提供するOPEReでは、ポケさぽの導入事例に加えて、病院運営に役立つノウハウの発信を行なっています。 「病院リーダーシップインタビュー」では、ポケさぽをご導入いただいた医療機関の経営層の皆さんに意思決定・組織運営にまつわる話を伺っていきます。 今回は、同愛記念病院の副院長であり、システム委員会委員長の西松先生に話を伺いました。 インタビューに答えてくれた方 ● 社会福祉法人 同愛記念病院財団 同愛記念病院 ● http://www.doai.jp/ ● 副院長 兼 システム委員会委員長 西松 寛明 様 ー この度はインタビューのお時間をいただきまして、ありがとうございます。同愛記念病院では、ポケさぽの利活用が大変進んでいます。今日はその裏側を伺いたいと思います。 よろしくお願いします。と言っても、うちは保守的な病院ですよ。 ー ポケさぽの利活用を見ていると、まったく保守的にはお見受けできず…。では、さっそくですが、ポケさぽについての最初の印象を教えていただけますか? 経営戦略室の方から「ポケさぽというツールがありまして、意外に良く出来ているので、見てください」と言われたことがきっかけです。 実際に内容を聞いてまず感じたことは、LINEを使っているのが良いと思いました。 患者さんにとっても身近なものですし、非常に使いやすいだろうな、と。 実際、私の母も、他のアプリは使えなくてもLINEは使えます。 なので、高齢者の患者さんにも、利用を促せると感じました。 ー とても嬉しいお言葉をありがとうございます。決裁の際は、どんなコミュニケーションがなされたのでしょうか? 事務長も前向きで、看護部からの反対意見もなく、院長決裁が最大の関門ですが、ポケさぽについては、非常にスムーズでした。 その背景として、2022年に新棟を開設する中で「患者サポートセンター」を立ち上げるという計画がありました。 その計画にうまく組み込むことが可能だったので、タイミングがとても良かったのだと思います。 ー 前向きに導入の意思決定が行われたように感じますが、ネガティブな意見などありませんでしたか? 院内では特に反対意見はなかったですが、運用が始まるまで、不安な点もありました。 ポケさぽでは、患者さんからメッセージを受け取ることができますが、どういう質問が来るか予想がつかず戦々恐々としていました。 でも、今となっては、いらぬ心配だったなと思います。 導入事例より同愛記念病院の患者サポートセンターのスタッフのコメントを抜粋 患者さんの問い合わせにメッセージで対応できるのも、よい点だと思っています。スマートフォンの時代、患者さんによっては電話することのハードルが高い方もいらっしゃいます。メッセージはお互いの好きな時間にやりとりができるので、コミュニケーションのハードルが下がった実感があります。 実際に受けた質問の例をあげると、部屋の希望や入院前PCR検査の質問がありました。 ( 患者さんから絵文字のメッセージが嬉しかった。デジタル化と患者満足を両立する患者サポートセンター | ポケさぽ導入事例 同愛記念病院 様 ) ー 実際に利用されている患者さんからの声などありますか? ご家族の方が登録できる点がとても好評です。 動画や説明資料を見てわからない部分を、家族間で聞き合ったりする方もいるようです。 先にも話しましたが、LINEを使っているので、そのままLINEで家族に、意味を聞いたり質問したりする患者さんもいるようです。 ー トピックを西松先生の役割に移させていただきますが、西松先生が委員長をされているシステム委員会では、どのようなお仕事をされていますでしょうか? システム委員会としては、電子カルテの話が中心です。 電子カルテの使い勝手やシステム改修の話がメインです。 ただ、内向きのシステムの話ばかりをしているわけではなく、外向きとして東京都総合医療ネットワーク主催の講演会に参加したり、地域医療連携システムの使用範囲を拡大できるよう交渉しに、東京都医師会に足を運んだりもしています。 ー 西松先生は、DXにとても前向きにお見受けしますが、ポケさぽ以外にどのようなプロジェクトを進められたのでしょうか。 DXに関してお伝えすると、新型コロナウイルスをきっかけにウェブ会議がとても活発になりました。 墨田区の保健所長さんがリーダーシップを発揮されて、墨田区の全病院が一堂に会した定期的なウェブ会議を続けています。 例えばサル痘の話を聞きたいと思えば、専門の先生にウェブ会議に参加いただき、講演会を開催することができます。 移動の時間や手段を考慮する必要がなくなり、働き方が大きく変化したと実感しています。 ー インタビューのはじめに、「保守的」とおっしゃられてましたが、その風土でもDXを進めるコツなどございますか? 保守的な風土だと、まず聞かれるのが費用対効果です。 費用対効果を示すには、費用対効果を示せる場所で進める。 できるところで最大限の効果を得られるように、mini DX で突破していくしかない、と考えています。 ー 同愛記念病院のDXを推し進める西松先生のモチベーションを教えていただけますか? 自分ができる範囲で、やりたいこと、思ったことが実現していくのは嬉しいですし、それが、患者さんのためになっていくことがモチベーションです。 大きな目標を掲げるというより、目の前のことをひとつひとつ進めています。 ー 同愛記念病院として、今後どのようなDXを行なっていきたいですか? 先ほどのウェブ会議の延長線として、まずは、患者さん向けの市民公開講座なども、オンライン化したいです。情報へのアクセスを容易にしながら、プライバシーも担保でき、アーカイブ配信も行えば、患者さんにとっての利便性は向上すると考えています。 ー 今日はお話を聞かせていただき、ありがとうございました。 --- ポケさぽユーザー会にて、事例発表としてポケさぽの活用についてもお話いただきました。合わせてご覧ください。
- 患者さんから絵文字のメッセージが嬉しかった。デジタル化と患者満足を両立する患者サポートセンター | ポケさぽ導入事例 同愛記念病院 様
導入のポイント 新棟への移転をきっかけに、いままで各診療科の外来看護師や薬剤師、事務がそれぞれ違う場所で行なっていた入院案内を、患者サポートセンターに集約。他職種合同で患者サポートを実施。 ポケさぽの導入により、A4、B5などのサイズ違いの用紙を準備・整理する業務を削減。 患者満足と職員の働きがいの向上に、ポケさぽが貢献。 メッセージで質問した患者さんに丁寧に対応し、最後は絵文字でお礼のメッセージを。 急いでいる患者さんがポケさぽを利用することで予定に間に合うことができ、笑顔でお帰りになられた。 お客様情報 社会福祉法人同愛記念病院財団 同愛記念病院 http://www.doai.jp/ 患者サポートセンター 矢島様、根津様、百武様、新棟建設準備室 木村 浩司 様 ー 同愛記念病院様の入院案内の業務について、教えていただけますか? 私たちの業務は大きく3つに分かれています。ひとつは入院案内するための説明準備と、もうひとつは後日入院案内を行なうための日程調整と予約、そして入院案内そのものです。 入院案内にいらっしゃる患者さんの人数は、曜日ごとに異なっています。水曜日・木曜日・土曜日が特に忙しく、ひっきりなしに患者さんがいらっしゃいます。 水・木・土以外の曜日で、資料の準備やその他の業務を、時間を見つけておこなっています。 ― ポケさぽ導入のきっかけを教えてください。 2022年8月に新棟が開設しました。新棟開設と同時に、デジタル化の取り組みを進めています。特に、何度も同じことを手書きで繰り返す業務について、紙の保管場所の問題と業務の非効率さの問題の両方が存在するので、より積極的にデジタル化を進めていきたいと考えています。そんなときに出会ったのが「ポケさぽ」でした。 ― 新棟開設の際に、患者サポートセンターを新設されていますが、旧棟との運用の違いはございますか? 旧棟と新棟では、そもそもの運用の前提が異なっています。 旧棟では、手術や入院が決まった患者さんに対して、各診療科の外来で看護師が説明し、その後薬剤師のいる場所へ行き、ときには診察室にもどって、最後に事務が入院案内を説明するという流れとなっていました。また、各外来で看護師が説明する範囲も統一されてない運用でした。 入院案内の書類も、A4、B5などの用紙のサイズがバラバラなものを使っていて、患者さんにお渡しする書類を準備するのに手を取られていました。 新棟では、患者サポートセンターとして、他職種が合同で入院案内をできるブースを新設しました。患者さんをワンストップで入院案内できるので、患者満足を高めることができましたし、職員の横の連携にも繋がりました。 その状態でポケさぽを導入したので、動画を使った説明で案内内容を標準化することができました。入院案内資料をデジタル化したおかげで、患者さんにご案内する書類の準備業務を削減することもできました。 ― 新棟での患者サポートセンター立ち上げ直後から、ポケさぽをご利用いただいていますが、導入してよかったことはございますか? 入院日にあわせたリマインド機能がとても良いです。同愛記念病院では、新型コロナウイルスの流行にともない、入院1週間前のチェック表の記載をお願いしています。2ヶ月前に入院案内を行なう患者さんもいらっしゃるので、チェック表の記載のリマインドは、とてもメリットを感じています。 患者さんの問い合わせにメッセージで対応できるのも、よい点だと思っています。スマートフォンの時代、患者さんによっては電話することのハードルが高い方もいらっしゃいます。メッセージはお互いの好きな時間にやりとりができるので、コミュニケーションのハードルが下がった実感があります。 実際に受けた質問の例をあげると、部屋の希望や入院前PCR検査の質問がありました。 ひとつ嬉しかったことを共有すると、メッセージをやりとりした患者さんが、最後に絵文字付きのメッセージをくださいました。 対面でお話ししたことを覚えていた患者さんでもあったのですが、絵文字を使ってお礼を言っていただけたのは、とてもうれしく、「今日もがんばろう」と思えました。 ― 貴院は、ポケさぽを初めて、多くのデジタルサービスを導入されていると伺っていますが、今後の病院運営のビジョンについてお聞かせ願えますか? 病院のデジタル化・DXは必須だと考えています。ビジョンとしては、デジタル化・DXすることによるデータに基づいた病院経営です。 また、繰り返し同じことを行なう作業的な業務については、どんどんデジタル化したいと思っています。私たちが業務をデジタル化し、業務改善することで、職員は患者さんに向き合う時間を増やすことができます。それが最終的に患者さんの笑顔につながると思っています。 ― 最後に、どんな医療機関にポケさぽをおすすめしたいですか? 急性期病院に、ポケさぽをおすすめしたいです。急性期病院は、患者さんへの説明内容も多く、時間もかかります。説明内容が多いということは、職員ごとに説明の内容や質にムラ・忘れ・漏れが発生しやすい状態であると言えます。 ポケさぽを使えば、説明内容を動画化・PDF化して標準的な説明にすることができますし、患者さんに提供するリマインド機能やメッセージ機能によって、職員の働き方もよりよくできます。 忙しい急性期病院にこそ、導入をおすすめします。 ― ありがとうござい・・・ 最後にひとついいですか?! 嬉しかったことがもうひとつありまして。先日、若い患者さんが入院案内に来られたのですが、患者さんの後ろのご予定がどうしても動かせなくて。 その際にもポケさぽにご登録いただき、説明時間を短縮したことで、結果的に患者さんはご予定に間に合うことができました。患者さんはすごく笑顔でお帰りになりました。 患者さんから笑顔をいただけるのが、一番嬉しいですね。 ― いい話ですね。今日はお話をきかせていただき、ありがとうございました。 --- 以下、 合わせてご一読ください。 医療機関の経営層の皆さんに意思決定・組織運営にまつわる話を伺った「病院リーダーシップインタビュー」にて、同愛記念病院 西松副院長にお話しいただきました。 ポケさぽユーザー会にて、事例発表としてポケさぽの活用についてもお話いただきました。
- 60-70代の患者さんからも好評。LINEで入院案内を始めた舞台裏 | ポケさぽ導入事例 船橋整形外科病院 様
導入のポイント ポケさぽ導入前の入院説明は、スタッフによる説明時間のばらつきと、患者さんの長い待ち時間が課題となっていました。入院に関する電話を受ける医療相談室でも、説明のばらつきによって、クレームになることもありました。 ポケさぽ導入1ヶ月で、スタッフの実感値で1患者あたり10分程度の入院説明時間を短縮。 「思ったより高齢者の方から評判がいい」とスタッフの方が語るように、船橋整形外科病院では予定入院患者の80%がポケさぽ(LINE)を利用。登録患者の年代は上から、60代、70代、50代。 お客様情報 医療法人社団紺整会 船橋整形外科病院 https://www.fff.or.jp/hospital/ 船橋整形外科クリニック 統括師長 額谷様 主任 浅見様 主任 山田様 船橋整形外科病院 医療相談室 山口様 企画部 手塚様 TQM部 石垣様 ー 今日はお時間いただき、ありがとうございます。ポケさぽ導入開始後1ヶ月にして、素晴らしい立ち上がりだと思っています。実際導入されていかがですか? 導入したばかりなので、運用面の課題を洗い出そうと、スタッフにポケさぽ導入に関するアンケートを実施しました。 これが面白い結果なので、共有させてください。 アンケートの答えた20人のスタッフが、入院説明の時間が削減したと実感しています。 回答が、「5分〜10分程度」「10分〜15分程度」に分かれていますが、おそらく、10分前後というのが実感値なんだと思います。 ー ありがとうございます。嬉しすぎて…涙 インタビューとはいえ、いいことばかりおっしゃっていただかなくて大丈夫です。 スタッフの満足度も共有すると、概ね良好です。 もちろん、アンケートの中で良い話ばかりではなく改善点も出ています。 ポケサポ導入により患者説明に関しては時短に繋がった。対応時間が長くなる原因となっていることが他にもあり(内服•既往歴の確認、指示確認など)今後はそれを整理していく必要がある。 入院説明のときに登録するのではなく、可能であれば事前に登録した方が、効率よくできると思います。 ポケサポを使うかの説明もそれなりに時間がかかるが、全体的には時間短縮になっていると思う。 ー 導入1ヶ月で運用の洗い出しまでされていて、素晴らしい実行力ですね。少しポケさぽを説明している場所やスタッフさんの体制について教えてください。 はい、ポケさぽを「船橋整形外科病院」の入院説明として導入していますが、実際に使っているのは「船橋整形外科クリニック」です。 クリニック側に外来機能とリハビリテーション機能を持ち、病院側に手術・入院機能を持っています。 クリニックの入院説明を行う部門は、入院説明業務のみを行なっているわけではなく、問診や採血、記録を行い、シフトによって処置室を担当したりしています。 入院決定患者さんが多い日は、スタッフ1人あたり5人の患者さんに入院説明をしています ー ポケさぽによって10分時間が短くなると、忙しい日はスタッフ一人あたり50分の時間を創出することができるわけですね。 はい、スタッフの業務改善効果も大きいのですが、実は患者さんの待ち時間短縮の効果のほうが大きいのでは、と思っています。 まだデータを取っていないのですが、フロアを管理している実感として、入院説明における患者さんの回転が早くなっています。 ー すごく順調なお話ばかりですが、、、導入前から課題などなかったのでしょうか? 引き続きの課題ではありますが、導入前からこんな課題があります。 スタッフは、同じ説明を何度もくり返す仕事なので、入院説明のシフトに入るときは、構えてしまうことも多く。 ー 構えてしまう・・・とは? 入院説明は、患者さん1人に対して30分ほど時間をかけていました。 先程説明しましたが、多い日は1人のスタッフが5人に入院説明をします。 待っている患者さんも多い中、150分説明をし続けるというのは、少し気合いを入れて向き合う仕事になります。 患者さんも、手術が決定するまでに診察でかなり待ち時間がございます。手術が決定したあと術前検査と入院説明があるので、患者さんからの「早くして…」という気持ちがスタッフのプレッシャーにもなります。 スタッフによっても、説明が長い人もいれば、すんなり終わる人もいて、入院説明を標準化したいと思ってました。 ー クレームなどもあったのでしょうか? 入院説明をしている部署でなく、病院側の医療相談室ではクレームを受けることも。 医療相談室では入院に関する電話を受けているため、スタッフの説明のばらつきによって、「そんなことは聞いてない」という声を患者さんからいただくこともありました。 ー そのような背景があって、ポケさぽ導入を決めてくださったんですね。導入するにあたって、大変だったことはないでしょうか。 これまで入院説明で使っていた資料を、ポケさぽによって動画化したわけですが、紙のどの部分が動画のどの部分になったかを確認するのには気を遣いました。 また、ポケさぽで動画化するまえに、資料を一覧にしたんですが、その整理も大変でした。 ウェブサイトやパンフレット、ポケさぽの動画で、言っていることにズレないよう整合性を取るのも、導入時は苦労しました。 ー 動画などのコンテンツ以外に、導入時、運用面では何か工夫されましたか? 院内でいろんな勉強会やミーティングをしました。 導入のタイミングでは、入院説明を担当するスタッフと、ポケさぽを前提に「どういうタイミングで、どういう説明をするか」「エラーが出たときはどうするか」の想定問答をつくり、勉強会を実施しました。 また医事課も巻き込んだプロジェクトにしたほうがいい、という話になり、統括師長と企画部で医事課に話をしに行ったりもしました。 ポケさぽ導入開始直前には、診療部、リハビリテーション部門にも、お知らせメールを出して、院内の理解を促進しました。 ー さすがのチームワークですね。導入した結果は、先程話していただきましたが、意外だったことなどございますか? ご高齢の患者さんからの反応がよかったことが意外でした。 最初は高齢の方は無理かなーと思いながら導入しましたが、「LINEやってますか?」という言葉をきっかけに、みなさん前向きにお話を聞いてくれて。 予定入院患者の80%がポケさぽ(LINE)を登録してくれてまして、年代別にみると上から、60代、70代、50代という感じです。 登録率の高さの背景に、整形外科における疾患の特徴もあると思いますが、それでも登録率の高さに驚いています。 ー それは、私たちにとっても嬉しいです。今日はお話を聞かせていただき、ありがとうございました。 まだ開始1ヶ月なので、数カ月後の結果をまた見に来てください。 --- ポケさぽユーザー会にて、 事例発表としてポケさぽの活用についてお話いただきました。 合わせてご一読ください。
- 「人を大切にする」業務DXで年間720時間の業務削減と離職率低下を達成 | ポケさぽ第1回ユーザー会 事例発表 船橋整形外科病院様
Patient Flow Management(PFM)をベースとした患者説明システム「ポケさぽ」の導入医療機関を対象に、株式会社OPERe(以下、OPERe)は2024年5月24日にオンラインにてポケさぽ第1回ユーザー会を開催しました。 ユーザー会の中で、ポケさぽをすでに導入・運用している医療機関から、事例発表としてポケさぽの活用についてお話いただきました。 ご発表者 医療法人社団紺整会 船橋整形外科病院 https://www.fff.or.jp/hospital/ 病床数 106床 企画部IT課 手塚 信一 様 1日の外来患者数は、2000人以上 船橋整形外科病院は、特徴として、外来の1日あたり2,000人以上、手術件数も年間約5,000件に登り、約100床の医療機関としては非常に多い数の患者さんを受け入れています。 船橋整形外科病院 外観 ポケさぽ導入時の課題は、入院手術説明の時間と場所 年間5,000件に及ぶ手術を行なっているため、同じ回数の入院説明および麻酔の説明が行われていました。 担当部署で説明にあたるスタッフは、1日あたり20人の患者さんに入院手術説明をする必要があり、その業務は必要不可欠と認識しながらも精神的負荷が大きくなっていました。 また、説明件数の多さから、入院手術説明をする場所にも限りがあり、患者さんの待ち時間も発生していました。 そこで、ポケさぽを導入し、入院に関するご案内や麻酔に関する説明、手術に関する説明*を、動画とPDFを組み合わせ、ポケさぽで配信することにしました。 *手術に関する説明動画は、船橋整形外科病院の医師が作成したもので、ポケさぽ導入前から使用していました。 月間360人以上がポケさぽを利用 ポケさぽの月間利用者は、約360人にのぼり、患者さん1人あたりの説明時間を10分短縮することができました。説明時間が減少することで、説明する場所の回転もよくなり、最終的には入院説明動画視聴専用ブースを撤去できるまでの改善が見られました。 実際に、ポケさぽによる業務軽減時間のアンケートを取ると、以下のような結果になりました。 患者1人あたりの業務削減時間が、多い職員だと20分、少ない職員でも5分程度となりました。 入院手術説明にかかっていた時間を年間で計算すると、少なくとも720時間減少できました。 副次的な効果として、離職率が減少 ポケさぽにはアンケート機能がありまして、退院前後に任意で回答をいただいています。 アンケート項目の中に、「病院スタッフにむけてメッセージをご記入下さい」というのがあり、この項目への回答が意外な効果をもたらしました。 アンケートには、職員に対する感謝の言葉が、月間100件以上寄せられました。 1つ例をお示しすると、以下のようなメッセージです。 「みんないい人ばかりでとても嬉しかったです!看護師さんは、何度もアイシングの交換夜遅くまでやっていただきとても感謝しています!リハビリの方々は、いつも膝のケア、トレーニングなどをしていただいたり、とてもいい環境でよかったです! 」 ポジティブなフィードバックの効果もあって、入院手術説明を実施している部署の離職率が減少するという副次的な効果もありました。 手塚氏(写真右)※写真は別日に撮影したもの 根本にあるのは、“人を大切にする”こと 船橋整形外科病院のモットーは「“人”を大切にし、地域の健康と幸福を最優先に」です。 全ての職員が働きやすく幸福を感じられる職場を作ることに日々取り組むことを念頭に、患者さんの利便性と職員のモチベーションを向上させながら、引き続きポケさぽを使っていきたいです。 --発表はここまで-- ユーザー会 事例発表 船橋整形外科病院 様 船橋整形外科病院 企画部IT課の手塚様の事例発表、いかがでしたでしょうか? 改めて発表を振り返ると、以下の3点にまとめられます。 導入前の課題は、入院手術説明に関する時間と場所 導入後、月間360人の方が利用し、患者さん1人あたり10分の説明時間が減少 ポケさぽ利用者からのフィードバックにより、担当部署の離職率も減少 職員の働きやすさと患者さんの利便性を両立した素晴らしい事例発表でした。 ポケさぽ運用開始数ヶ月後のインタビューは、こちらからご覧いただけます。 ポケさぽ第1回ユーザー会 事例発表では、他の医療機関からの発表もございました。引き続き記事にしていきますので、よろしければ記事の下にある、OPEReメルマガにぜひご登録ください!
- ポケさぽのサービスページをリニューアルしました
2024年6月10日 株式会社OPERe 株式会社OPERe(東京都千代田区、代表取締役/CEO 澤田 優香、読み方 オペリ、以下 OPERe)は、Patient Flow Management(PFM)を起点患者とした説明システム「ポケさぽ」のサービスページを更新しました。 リニューアルしたページ 新しい「ポケさぽ」サービスページ、ぜひご覧ください。
- ポケさぽ導入施設数が55以上に拡大。広島市民病院や近森病院、順天堂医院など高度急性期病院でのPFM支援も開始
2024年6月12日 株式会社OPERe 株式会社OPERe(東京都千代田区、代表取締役/CEO 澤田 優香、読み方 オペリ、以下 OPERe)は、Patient Flow Management(PFM)をベースとした患者説明を半自動化するシステム「ポケさぽ」の導入施設数が、55以上に拡大したことをお知らせします。 合わせて、高度急性期病院としてそれぞれの地域に貢献している広島市民病院や近森病院、順天堂医院*などで、ポケさぽを利用したPFM支援を開始いたしました。 *契約締結日順、敬称略 導入施設数が55以上に拡大 OPEReは2022年1月に、患者さんへの説明に動画やPDF、メッセージなどのデジタル手段を活用できるサービス「ポケさぽ」の提供を開始しました。対象範囲を入院説明からスタートし、ご契約いただいた医療機関の皆さまとともに、産科・術前・検査・健診・臨床研究まで拡大してきました。2024年5月には、契約導入施設数が55を超えました。 「患者と医療者とコミュニケーションハブになる」ことをビジョンに掲げ、引き続き患者コミュニケーションのDXを支援してまいります。 高度急性期病院でのPFM支援を開始 ポケさぽの特徴として、動画やPDF、メッセージなどの一連の情報提供をパッケージ化し、QRコード化して患者さんに適切なタイミングで配信する点があります。この特性を活かし、PFM を実践する入院支援部門でのご活用が増えてきております。本プレスリリースに際して、高度急性期病院としてそれぞれの地域に貢献している広島市民病院や近森病院、順天堂医院のご担当者様より導入に際してコメントをいただきましたので、ご紹介いたします。 広島市民病院 医療支援センター 次長 松谷 加代子 様 昨年10月に導入し、現在、予定入院患者さんの60%の方々に活用していただいております。毎月頂戴しております『レポート』には、『患者さんの生の声』として、「繰り返し確認できる点や家族も確認できる点がよい」、また「外出先からでも入院準備物品の確認ができる点が便利」といった評価を頂き、病院としても大変嬉しく思っています。今後さらに『ポケさぽ』活用の場面を増やすことで、患者さんに提供する医療の質の向上を図りながら、職員の負担軽減(業務時間の削減等)につなげていきたいと考えています。 近森病院 診療支援部 ICT推進課 課長 小原 健稔 様 国内で最も利用率が高いSNSであるLINEインターフェースを使ったサービスであり、幅広い年齢層で親和性が高いと感じたこと。加えて考慮すべき「個人情報の取扱い」についてはOPEReさん側のサーバで管理する構成となっており、シンプルながらも抑えるべき点はしっかり管理されている印象を受けました。また、患者さんご本人だけでなくご家族にもご利用いただける仕組みとなっていることにも魅力を感じました。 すでに現代社会においては「1対1の音声通話コミュニケーション」主体から「テキストや写真、動画などを使った1対Nコミュニケーション」へとシフトしつつあります。 数十年前に比べて多くのコミュニケーション手段が生まれた現代では、必要に応じたコミュニケーション手段を選択できるようにすることが、病院職員の負担軽減だけでなく、患者さんやそのご家族の安心、ひいては安全な診療行為にもつながるものと考えています。 順天堂大学医学部附属順天堂医院 看護部 看護情報管理担当師長 玉本 和紀 様 患者説明は看護師にとって大切な業務ですが、場面によっては標準化し、動画などのツールに代替えした方が患者さんにとってわかりやすく質を担保できる業務でもあります。自分たちで自作すべきかと悩んでいたところ、ポケさぽを知りLINEアプリという誰もが親しみやすいツールにインパクト感じて導入にチャレンジしようと考えました。 現在3つの場面、大腸内視鏡検査の説明、入院の支援、術前外来のサポートで導入準備を進めています。このDXが効率化だけでなく、部署・部門間の連携や看護師の行動変容につながることを期待しています。 ポケさぽとは 「ポケさぽ」は、PFMをベースとし、患者のポケットにあるスマートフォンから、動画やPDF、メッセージ等を用いて患者説明を半自動的に行うシステムです。患者説明の繰り返し「同じ説明を違う患者に」する部分を「ポケさぽ」が担うことで、患者はいつでも・どこでも・なんどでも患者説明を受けることができます。医療者は口頭・書類に加え「デジタル」の表現を活用することによって、業務負荷軽減やペーパーレス等の効果があるシステムです。 「ポケさぽ」について:https://www.opere.jp/poke-sup 会社概要 株式会社OPERe 所在地:東京都千代田区大手町1-6-1大手町ビル1F-3F Spaces 大手町 設立 :2020年6月 代表者:代表取締役/CEO 澤田優香 URL :https://www.opere.jp/
- 病院経営におけるフィッシュボーンチャートの活用法〜PFM改善のための課題整理〜 | PFMノート③
こんにちは、オペリブログにアクセスいただき、ありがとうございます。 OPEReのコサコです。 オペリブログでは、医療機関の組織運営や業務改善にまつわるトピックを発信していきます。 過去2回、病院経営改善のひとつの手段としてPatinet Flow Management(以下、PFM)を取り上げてきました。 入院案内のその先へ PFMセンターのメリットと具体例 | PFMノート① 一度は読むべき「入院案内・PFM」に関する8つの記事 | PFMノート② 今回は、PFMノート③として「病院経営におけるフィッシュボーンチャートの活用法〜PFM改善のための課題整理〜」をお送りします。 --- 病院でのプロジェクト管理における課題整理 病院では多種多様のプロジェクトがあります。プロジェクトの序盤では以下の手法で課題を整理することが多いのではないでしょうか。 フローチャート ロジックツリー 2×2のマトリックス 筆者作成 実際に、私自身も病院での勤務経験の中で、運用上の課題を整理したり収益改善のための提案をおこなったりする際に、このような整理手法を使っていました。 課題整理手法:フィッシュボーンチャート フローチャート、ロジックツリー、2×2のマトリックスの他にも、課題を整理する手法はございますが、今回のブログでは、フィッシュボーンチャートについてご説明します。 フィッシュボーンチャートとは、「現在の結果」(特性)がどのような要因で発生したのかを図式化したもの。魚の骨に似た形なので、フィッシュボーンと呼ばれます。特性と要因をまとめたものなので、「特性要因図」とも。 (中略) 工場の技術者から上がった「問題に対して原因が多すぎ、整理できない」という声に応えて誕生したのだそう。 (武山和正、“フィッシュボーンチャートとは? 初心者でも3ステップで完成!”) 図としてイメージしやすいように、以下の『特性要因図「入院オリエンテーションが終わらない」』をご紹介します。 株式会社麻生が有する飯塚病院の、待ち時間を改善した書籍「カイゼン型病院経営: 待ち時間ゼロへの挑戦(麻生泰 著)」の中で、入院オリエンテーションの待ち時間改善事例の図としてフィッシュボーンチャートが使われていました。 --引用-- 引用元:麻生 泰, "カイゼン型病院経営: 待ち時間ゼロへの挑戦", p.77, 図II-4 特性要因図「入院オリエンテーションがスムーズに終わらない」 ---- PFM改善に、フィッシュボーンチャートを活用する理由 PFMについての復習 Patinet Flow Management(以下、PFM)は病院経営改善の手段のひとつで、以下の図で示す「医療機関の入り口(外来での初診)から出口(術後の退院など)」までを管理して、病院経営を向上させる考え方です。 入退院に関する業務を横断的に管理することで、予定入院患者の課題を事前に把握し早期介入するとともに、医療機関の病床稼働を最適かつ効率的に運用できるようになります。 PFM改善の難しさ PFMを司る部署であるPFMセンター(患者支援センター、入退院支援センター、患者サポートセンターなど)は、多くの場合、入院案内をPFM介入のポイントとして設置されています。 入院案内を中心に考えたとしても、PFMを行なうのは一筋縄では行きません。 理由は以下があげられます。 全体効率を図ろうとすると前方連携から後方連携まで関係者が多すぎてしまう 関係者が多い場合、組織の指示命令がスムーズに行かない* PFMに関わる部署は、患者対面業務も多く、横断的なプロジェクトマネジメントをする人的・時間的余裕がない 物理的な運用変更、書類の運用変更など、時間的コストも多く発生してしまう * 病院の組織構造については、「委員会が変われば、病院が変わる」をご参照ください。 フィッシュボーンチャートを活用する理由 PFMは、医療機関の入り口(外来での初診)から出口(術後の退院など)までを管理しているがゆえに、改善の対象範囲が広いのが特徴です。 PFMを向上させるために、目の前の課題を解決したくなることがあるとは思います。ただ目の前の課題は全体のどこに位置し、課題の要因はどこにあるのかを特定しない限り、課題を解決したとしても時間をかけてその課題が再発する恐れがあります。 PFMを改善する初手として「フィッシュボーンチャートを使って整理して、インパクトの大きい要因を特定する」ステップを踏んでいれば、関係者の合意形成や実行のスピード・優先順位をよりよいものにできると考え、今回ブログでご紹介しました。 まとめ 今回のブログでは、PFMノート③として「病院経営におけるフィッシュボーンチャートの活用法〜PFM改善のための課題整理〜」をご紹介しました。 多くの部署を巻き込んだ形でPFMを行う場合、少し全員で全体感を整理した後に改善策を実行していけば、効果が出やすく、組織を良いサイクルに導くでしょう。 みなさんの委員会や改善活動のヒントになれば幸いです。 参考文献 Study Hacker 学び続けるビジネスパーソンへ, 「フィッシュボーンチャートとは? 初心者でも3ステップで完成!」, https://studyhacker.net/fishbone-diagram (2023.03.16) 麻生泰(2015, 3)「カイゼン型病院経営: 待ち時間ゼロへの挑戦」, 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版). p. 77 図II-4 特性要因図「入院オリエンテーションがスムーズに終わらない」
- 病院の患者向け説明動画を作成する際に重要な3つのこと
こんにちは、オペリブログにアクセスいただき、ありがとうございます。 オペリブログでは、医療機関の組織運営や業務改善にまつわるトピックを発信していきます。 前回のブログ「病院の患者向け説明動画の「ナレーション」で大切な3つのこと」に続き、今回は、動画全体の話である「病院の患者向け説明動画を作成する際に重要な3つのこと」についてご紹介します。 弊社のサービス「ポケさぽ」では、動画とメッセージを組み合わせて、患者説明を半自動化するサービスを提供しています。 患者説明に動画とメッセージを利用することで、業務のタスクシフト/シェアしつつ、患者さんの満足度を高めることができます。 今回は、多くの患者向け説明動画をはじめとするコンテンツ作成を担当するスタッフに、「病院の患者向け説明動画を作成する際に重要な3つのこと」を訊きました。 ----- 病院の患者向け説明動画を作成する際に重要な3つのことについて、先に結論をお伝えすると、以下の3つにまとめられます。 散らばっている情報を整理し、情報を再構成する 細かい情報は紙やPDF、ナレーションで補足し、動画自体はシンプルにする 患者さんに行動を起こしてもらうお願いには、理由を添える 重要な3つのことについて、それぞれ深ぼっていきます。 大前提:患者さんが理解できてアクションいただける動画作り 気をつけていること3つをお話する前に、大きな前提について共有します。 病院から説明したい内容と、患者さんが理解できる内容には、大きな差があります。なぜなら「置かれている立場が違う」からです。 病院のスタッフは そもそも医療に関する知識を持ち合わせている 病院のルール・暗黙知を知っている 繰り返し説明をしている という状況です。 一方、患者さんは 検査や入院について、経験が少ない・無い 病院に関するルールや決まりについて、初めて知ることばかり そもそも知識や経験がないので、理解がするのに労力がかかる この差を埋めていくのが、患者向け説明動画の役割です。 患者さんが理解するのに労力がかかる状況を、1段1段理解度を上げながら、病院のルールや決まりをご理解いただき、最終的には病院がお願いする「アクション」に気持ちよくご協力いただくのが、大切です。 これを前提に置きつつ、患者説明動画を作成する上で気をつけていることをお伝えします。 散らばっている情報を整理し、情報を再構成する 患者向け説明動画を作成するにあたって、一番労力がかかるのは、病院中に散らばった情報を整理し、情報の流れを再構成することです。 現在、病院では、 広報誌 紙での説明 ホームページ 口頭伝達 掲示板 など、あらゆる媒体で患者さんに情報を伝達しています。 医療者が患者さんに伝えている内容を動画でお伝えする際に、病院のみなさんにヒアリングすると、多くの場合、情報は媒体を横断しています。その理由として、各部署や委員会が高度な専門性をもって病院運営をしている裏返しでもあります。それがゆえに、患者の理解度と関係のない資料構成になってしまうことが少なくありません。 患者向けの説明動画として、患者さんの理解度を1段1段あげながらアクションしていただくことを目的とするには、 動画の目的に応じて 動画に盛り込む内容を院内からかき集め 情報の取捨選択を行い 知識・経験のない方でもスムーズに理解できる順序に情報を並び替える 必要があります。 細かい情報は紙やPDF、ナレーションで補足し、動画自体はシンプルにする 患者さんの理解度をあげるために、効率の良い手段は動画です。 動画は、以下の点で優れています。 説明のクオリティーを標準化できる 図や写真を用いて、見る方が想像できる 映像にナレーションを乗せることができる 繰り返し見ることができる ただ、病院からの説明において、患者の理解度向上を最大化させるためには、動画のみに完結しないことも重要です。 具体的には、 書類 PDF ウェブサイト 病院内の運用(動画前後のスタッフによるコミュニケーション) を組み合わせる必要があります。 動画だけで完結しないという意味には、 外来で配られる説明同意書 アメニティーなどの申込書 詳細な指示書や検査/入院時間・場所 など、個別事象を動画に盛り込めないことという背景もあります。 患者さんが手元の動画を見ながら、手元資料と照らし合わせやすい動画・振り返りやすいPDFを考慮して、弊社では患者向け説明動画を作成しています。 また、患者向け説明動画を作成する際は、 細かい情報はできるだけ省く 動画内の「絵」は、シンプルにする どうしても伝えたい細かい情報はナレーションに乗せる という点に気をつけています。 ナレーションという音声情報に加えて、紙やPDFを活用することで、より伝えたい内容についての理解が深まります。 患者さんに行動を起こしてもらうお願いには、理由を添える 3つ目の気をつけていることとして、「行動を起こしてもらうお願いには、理由を添える」というのがあります。 入院案内の動画を作成していると、患者さんにお願いすることは、最低でも10個はあります。 お願いする数が多いからといって、箇条書きに あれをやってほしい これをもってきてほしい それはやらないでほしい と書いても、患者さんは納得できず、結果的に病院側のルールや決まりに則さない形で来院されてしまうこともあるのではないでしょうか。 そのため、お願いする際は、どうしてそういうお願いをしているのか理由を添えるようにしています。 病院としては、当たり前であったり暗黙知になっているルールも、言語化して伝えることが大切です。 1例として、入院における履物のお願いの「絵」を共有します。 「入院の際は、スリッパはやめてください」とお伝えするのではなく、「転倒の予防のためにも、靴でいらしてください」と伝えることが大切です。 まとめ いかがでしたでしょうか。 改めて、病院の患者向け説明動画を作成する際に重要な3つのことをまとめると、 散らばっている情報を整理し、情報を再構成する 細かい情報はナレーションや紙やPDF、ナレーションで補足し、動画自体はシンプルにする 患者さんに行動を起こしてもらうお願いには、理由を添える です。 最後に宣伝になってしまうのですが、、、 弊社コンテンツ担当スタッフに話を訊くと、ブログではお伝えできない動画作成のコツがまだまだたくさんあります。 お知りになりたい方は、ぜひ、弊社までお問い合わせください。
- 患者向け説明動画の「ナレーション」で大切な3つのこと
こんにちは、オペリブログにアクセスいただき、ありがとうございます。 オペリブログでは、医療機関の組織運営や業務改善にまつわるトピックを発信していきます。 今回は、病院が提供する患者説明動画の「ナレーション」について取り上げます。 ----- 患者向け説明動画の「ナレーション」で大切な3つのこと 本稿は、音質・ナレーションの効果の話をご紹介しながら、弊社の動画コンテンツの音声監修を行なっているSAEKIアナウンススクール代表の佐伯さんに話を伺いながら、患者向け説明動画のナレーションで大切なことを紹介します。 患者向け説明動画のナレーションで大切なのは、以下の3つです。 クリアな音質で録音すること 「不安」と「面倒」に寄り添いながら、理解の助けとして提供すること 顔をあげさせてくれる「声」で提供すること なぜこの3点なのかについて、詳しく説明していきます。 WEB会議の疲労感の原因は音にあった 動画のナレーションに入る前に、わたしたちが日々接している、音質の話をします。 新型コロナウイルスの蔓延にともない、一般企業のみならず、医療機関でもWEB会議が当たり前になりました。 筆者自身も医療機関の方とお話する際に、オンラインで会話することがとても多いです。 そのときにどうしても感じてしまうのは、「疲労感」。 対面の会議ではそこまで疲れない気がしますが、オンラインでの会議が続くと、なんとなく疲れてしまいます。 NTTデータ経営研究所とシュア・ジャパンが2022年に行った調査によると、Web会議の「疲労感」や「会議内容の理解不足への不安感」の要因は、以下と報告しています。 1. 音質が悪い会議は、内容が理解されないだけでなく、参加者にストレスを与える。 2. ストレスの原因として、特に認知機能に対する負荷が高まる傾向がある。負荷が継続すると認知機能が低下し、理解力や判断力、反応のスピードといった会議参加にとって重要な能力が鈍くなる。 3. 会議の内容が理解できないことによるストレスは、会議の後半にかけて蓄積されていく。 病院の患者向け説明動画に置きかえると 音質が悪いと、患者の認知力は低下する可能性がある。 音質のせいで、説明内容を理解してもらえない可能性がある。 と考えられるため、 クリアな音質でわかりやすい音というのが大切なことがわかります。 YouTube広告でもナレーションが重要 私たちが日頃触れているYouTube内の広告でもナレーションは重要なポイントとして考えられています。 YouTubeを視聴する方は、動画コンテンツの前に表示される広告に嫌気をさすことが少なくありません。 ネガティブな感情を抱きやすい視聴者に、YouTube広告として伝えたいメッセージを伝えるのは容易ではありません。 そんなときに効果的なのが「ナレーション」です。 YouTube広告において、ナレーションあり・なし を比較した場合、 ナレーションありのほうが、なしより、視聴率が2 points 増加した 広告視聴後の商品ページクリックについては、ナレーションありは、なしより3倍の効果があった というデータもあります(Infinity Agent Lab)。 つまり、動画にナレーションが乗ると、視聴者の興味や理解を深めることができることがわかります。 患者向け説明動画の「ナレーション」で大切なこと 前段が長くなりましたが、動画において音質とナレーションが重要であることはご理解いただけたかと思います。 では、病院が提供する患者説明動画では、どういうところに気をつければいいでしょうか? 弊社ポケさぽの動画コンテンツの音声監修を行なっているSAEKIアナウンススクールの佐伯さんに、患者説明動画の音声録音のポイントを訊いてみました。 ※SAEKIアナウンススクールは、東京キー局や全国の放送局に高い内定率でアナウンサーを送り出しているアナウンススクールです。 ー 弊社OPEReが提供する「ポケさぽ」内の動画コンテンツのナレーションを監修いただき、ありがとうございます。佐伯さんが患者説明動画のナレーションを監修する上で気をつけていることはありますか? 動画コンテンツに音声を乗せていくときに、患者さんの「面倒」と「不安」に寄り添いながら、理解の助けになるというのを一番意識しています。 病院に通う方々は、私の認識では「面倒」と「不安」を抱えられています。 病院に通う方々が面倒と不安を抱えた状態で、動画のナレーションを聞くと説明がくどすぎると、「わかってるよ」という感情をいだきやすく 説明が淡白すぎると、「なんでもっと説明してくれないの?」と感じやすい と考えています。 監修する際は、病院の伝えたい側と患者の受け取る側の間に立つような形で音声を届けたいと思っています。 ー 伝え方もありますが、声自体にも大きな役割があると思います。動画における「良い声」とはどんな声なのでしょうか? 私が考える良い声とは、顔をあげさせてくれる声です。 動画を通して受け取る側と時間を共有すると考えているので、声も時間を共有するための重要な要素の1つだと考えています。 先にも言いましたが、患者さんは面倒と不安を抱えた状態で、患者説明の動画を見ることになります。 面倒と不安に対して、寄り添いながらも適切な距離感で声をお届けできるかが、患者説明動画の音声では重要だと思います。 ー 「感情を乗せてながら、聞く人を惹きつけなければならない」プロの仕事というのがよくわかりました。お話を聞かせていただき、ありがとうございました。 佐伯さん監修の音声の例 まとめ 今回は、WEB会議の音質やYouTube広告の話から、弊社の動画コンテンツの音声監修を行なっている佐伯さんに話を織り交ぜ、病院が提供する患者説明動画の「ナレーション」について紹介しました。 改めて患者向け説明動画のナレーションで大切なことをまとめると、以下の3つです。 クリアな音質で録音すること 「不安」と「面倒」に寄り添いながら、理解の助けとして提供すること 顔をあげさせてくれる「声」で提供すること 多くの病院で、患者説明動画を作成されていると思います。 今後新しく動画を作成していく際に、「映像」だけでなく「ナレーション」にもこだわってみてはいかがでしょうか。 参考文献 IT Leaders編集部. “Web会議のストレスは音質の悪さから、理解力や反応速度に影響─NTTデータ経営研とShure”. IT Leaders. https://it.impress.co.jp/articles/-/23316 (2023. 1. 20) Infinity Agent Lab. “【YouTube広告】 ナレーションありなしでの効果の差は?”. https://infinity-agent.co.jp/lab/youtube-narration/ (2023.1.24) SAEKIアナウンススクール https://saeki-announce.jp/ (2023. 1. 20)
- 院内展示会でDX推進 〜近江八幡市立医療センターの取り組み〜 | 病院管理職の仕事術③/病院DX⑤
こんにちは、オペリブログにアクセスいただき、ありがとうございます。 オペリブログでは、医療機関の組織運営や業務改善にまつわるトピックを発信していきます。 今回は、「院内展示会でDX推進」というテーマで、近江八幡市立総合医療センター 総務課経営企画グループ兼DX推進室の池田 裕樹さんに、病院のDXを進めるうえで実行している「院内展示会」についてインタビューしました。 -------------- ー 弊社が近江八幡市立総合医療センターの院内展示会に参加させていただいたことをきっかけに、今回、インタビューをさせていただくことになりました。取材を受けていただき、ありがとうございます。 こちらこそ、ありがとうございます。 近江八幡市立総合医療センター 総務課経営企画グループ兼DX推進室の池田 と申します。 ー 本題の院内展示会に入る前に、 総務課経営企画グループやDX推進室では、日頃どんな仕事を行われているんでしょうか? 大きく4つの仕事をしています。 病院機能評価プロジェクトチームの事務局 広報誌・ウェブサイトの管理 経営分析(DPC分析、クリニカルパス作成など) DX推進 DX推進室では、月に1回の定例会議を実施しながら、DXに関するサービスの検討・導入を進めています。本年度はRPAを導入し、院内の多くの部署での活用を検討している最中です。 定例会議で多くのDXサービスを検討していく中で、院内の多くの方にデモを見てほしいという思いから「院内展示会」をはじめました。 ー 院内展示会は、今年から開始されたということでしょうか?その背景にはどんなものがあったのでしょうか? はい、2022年度に初めて実施した企画です。 院内展示会を企画した背景は、新型コロナウイルスです。 コロナ禍になり、オンライン会議が普及したことで、DXサービスの会社からオンラインでのデモンストレーションを受ける機会が増えました。 デモンストレーションには、役職者は都合をつけて参加できるものの、現場スタッフは業務が忙しくみんなが参加できない課題がありました。 ただ、サービス導入で重要なのは現場の方の意見です。 直接ベンダーの方に来てもらい1日デモンストレーションしてもらえれば、現場スタッフは業務の空き時間で自由に参加できますし、どうせなら複数の会社に来院いただき、学会の企業展示会のようにできないか、と考えたのがこの「院内展示会」でした。 ー 「重要なのは現場の方の意見です」というのは、ほんとそのとおりですね。実際、どのくらいの職員の方が、院内展示会に参加されたのですか? 開催したのは1日で、当日は50名以上の職員が参加しました。 提案をしてくださっている4社に関連する職員で、もともと業務を途中で抜けられず時間の調整が難しかった人たちが中心です。 ー 今後この記事をみて、「院内展示会を開催してみたい」と思う病院向けに、アドバイスなどございますか? アドバイスというより、コツになりますが、 開催日当日に職員が来ないというがもっとも避けたい事象でしたので、その対策として ● 院内周知(ポスターを作成し院内の掲示板に貼る) ● 事前に所属長や職員に声掛けをする ● 開催日当日は、医局や関連部署に足を運び、声掛けを行なう ということを実施しました。 当日は思ったよりあっという間でした。職員とベンダーが画面越しではなく対面でお話しできたことでDXサービスを肌で感じることができましたし、何よりオンライン会議よりもコミュニケーションが取りやすかったです。また、ベンダー同士のコミュニケーションが生まれてたのは良かったなぁと思いました。 ー この度はインタビューに応じていただき、ありがとうございました。 ありがとうございました。 -------------- 近江八幡市立総合医療センター の池田さんの話、いかがだったでしょうか。 サービス導入する際に、日中稼働している職員のみなさんを巻き込むのはとても大変です。 検討中のサービスを一気に横並びで検討するのは、実際にサービスを利用するみなさんにとって素晴らしい取り組みと考え、今回記事にしました。 最後に、企業側・ベンダー側のメリットについてもお伝えすると、 実際に利用する方々の意見や業務に取り組む上での価値観を知ることができる 多くの部署の方との会話を通じて、病院の雰囲気や文化を知ることができる 患者さんの導線や利用する方の部署の部屋など、ハード面を把握できる 同時導入の可能性があるサービス提供者同士で話をするため、後日連携しやすい などがあげられます。 病院内でDXやプロジェクトを推進する方々の、お役に立てれば幸いです。
- 委員会が変われば、病院が変わる| 病院管理職の仕事術②
こんにちは、オペリブログにアクセスいただき、ありがとうございます。 オペリブログでは、医療機関の組織運営や業務改善にまつわるトピックを発信していきます。 今回は、組織としての病院を専門に研究されている、簗取 萌さんに、病院管理職が知っておくべき知識として、病院の意思決定の仕組みを解説いただきます。 --- こんにちは、簗取です。 私は、組織の観点から病院の意思決定の仕組みやマネジメントについて研究を行なっています。 病院で頻繁に起こる問題として、「物事が決まらない」「決めたはずのことがきちんと実行されない」といったことがあります。 今回は「病院における意思決定」について解説していきます。 なぜ病院では物事が決まらない?! 病院で勤務されておられる方々にとって、次のような場面に遭遇することが少なくないのではないでしょうか。 医療現場では様々な医療スタッフが協力しながら仕事を進めているが、病院全体のことを決めようとすると議論が全く進まない。 医療スタッフが病院全体に関わる議論に積極的に参加しようとしない。 病院全体で決めたはずのことがきちんと実行されない。 こうした状況は「自分勝手な医療スタッフ」や「仕事のできない事務スタッフ」のせいで生じるのではありません。むしろ、「病院」という組織の特性上生じやすい問題と言えます。 このような問題を回避するためには、病院の特性や意思決定の仕組みをきちんと理解することが重要です。 まず、病院の組織構造を簡単に見てみましょう。病院では、医師、看護師、薬剤師などの様々な医療専門職が勤務しており、それぞれが各領域に特化しながら専門的な業務に従事しています。図1は、病院の組織図を簡単に表したものです。病院によって組織の構成パターンは異なりますが、大きくは診療部、看護部、薬剤部や検査部などの診療支援部、事務部に分かれ、院長等の最高意思決定者(機関)の下にぶら下がります。このような組織構造は、一般企業で多くみられる事業部制組織に近いものです。 病院や企業などの組織では、この組織図のハコとハコをつなぐ線が指揮命令系統となり、全体の調整が行われます。通常はその経路に従って全体を効率的にコントロールすると想定されています。 ミニ解説:事業部制組織とは 事業部制組織(divisional organization)とは、事業部(division)を構成単位とする組織形態のことを意味します。事業部とは製品別、地域別、顧客別に関連職能を束ねた、独立性・自立性の高い部門を意味します。例えば、日本で初めて事業部制を導入したのは松下電器産業(現 パナソニック)です。創業者の松下幸之助は、所有する工場群を「ラジオ部門」「ランプ・乾電池部門」「配線器具・合成樹脂・電熱器部門」に分けて事業部門化しました。 しかし病院では各部門に大幅に権限が委譲されている場合が多く、組織の上層部が各部門の情報を吸い上げたり、各部門の専門性の高い情報を理解したりすることが難しい状況があります。また独立性の高い各部門では、お互いに干渉しないという状況もあります。図2は、ある病院の診療科間の医師の様子の例です。部門間が分断しているような状況を「たこつぼ化」とよぶことがあります。病院に勤務経験がある人であれば、これに類似した場面に遭遇することもあったと思います。 この会議、意味あるのだろうか... 病院では命令系統に沿った調整や部門間の理解が不十分な状況にあるため、組織全体に関わる問題の解決は容易ではありません。そこで病院では委員会やプロジェクトを設置して、各部門の代表者の直接的な協議の場で問題解決を図ろうとしています。近年は患者ニーズが多様化・複雑化しているために、病院全体として対応しなければならないトピックスが多岐にわたります。ある総合病院では院内に70を超える委員会を設置しています。 では、実際の委員会はどんな様子なのでしょうか。私がこれまでに見てきた委員会では、「誰も発言しない」、「居眠りしている」、「そもそも出席しない」ことがしばしば起こっています。それらの委員会は、会議としては機能していません。その一方で、医療スタッフが職種を超えて活発に議論している病院も存在しています。 委員会が変われば、病院が変わる 病院での委員会が機能した例を紹介します。 病院全体で取り組むべき課題の1つに費用の適正化があります。医療機器や医療材料の高額化や消費税増税に伴い、病院の費用は年々増加傾向です。医療材料の適正な調達や管理の実現に向けて、多くの病院では医師などの医療スタッフから構成される委員会を設置しています。この委員会が実質的に機能するか否かが、病院全体のコスト意識や医療スタッフの行動に大きな影響を与えているのです。 ある病院の医療材料調達に関する委員会は、委員はコスト削減に向けた対策について全く議論せず、診療科医師が好き勝手に申請する高額な医療材料を全て承認していました。それに対して、別の病院の委員会では医師や看護師や臨床工学技士がそれぞれの知識を活かしながら医療材料のコスト削減のアイデアを積極的に共有し合い、実現可能性の高いコスト削減策を次々と決定していました。それらの対策はすぐに各部門に通達され、さらに実際の効果の検証まで行われていました。その様な委員会のプロセスの徹底により、「医療材料を無駄にしない」というコスト意識が各部門のスタッフに浸透していたのです。この2つの病院の例は、委員会の運営が病院全体の文化、意識、さらには経営にも大きな影響を与えることを示しています。 つまり、委員会が変われば、病院が変わる、と言えるでしょう。 まとめ 今回は「病院の意思決定」をテーマに、病院の特性や意思決定の仕組みについて記事を書きました。今回の記事のポイントは以下の3つです。 病院では部門間がたこつぼ化しており、病院全体として意思決定を行うことがそもそも難しい。 病院では、部門間の調整を図るために委員会やプロジェクトチームが活用されており、その重要性も高まっている。 委員会が実質的に機能するか否かが、病院全体の文化や医療スタッフの行動に大きな影響を与えている。 病院で勤務されている人たちにとって、委員会は副次的な業務で面倒くさいと思われていることも多いです。しかし、病院経営改善や医療の質の維持・向上にはそうしたヨコの連携が極めて重要です。この記事が、病院組織の特性や病院の意思決定の際に留意すべきことを理解する上で、お役に立てば幸いです。 参考文献 植草 徹也. BCG流病院経営戦略: DPC時代の医療機関経営. 2012. エルゼビアジャパン. 榊原 清則. 経営学入門. 日本経済新聞社. 2002. --筆者-- 簗取 萌 新潟医療福祉大学 医療経営管理学部 医療情報管理学科 助教 国立看護大学校看護学科卒業、一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース修了(MBA)、一橋大学大学院商学研究科博士後期過程 単位取得後退学 ナショナルセンター集中治療室の看護師として勤務後、MBA取得し、病院経営コンサルティング会社にて大規模病院の手術室や看護部の業務改善プロジェクトに従事する。その後現職。
- 病院でプロジェクトを始めるときに気をつける3つのこと | 病院管理職の仕事術①
こんにちは、オペリブログにアクセスいただき、ありがとうございます。 コサコです。 オペリブログでは、医療機関の組織運営や業務改善にまつわるトピックを発信していきます。 わたしは、キャリアの中で過去2つの医療機関で働きました。2つの医療機関ではどちらもプロジェクトベースの仕事が多く、私の専門性のひとつにプロジェクトマネジメントをあげるくらい、プロジェクト単位で仕事を行なってきました。 いまの仕事もITサービスの導入支援という、角度からプロジェクトに関わることが多く、今回は「病院でプロジェクトを始めるときに気をつける3つのこと」をテーマにブログを書こうと思います。 ※「この写真、だれ?」って感じですが、ストック写真専用サイト"unsplash"に、 米国National Cancer Instituteの写真があったので、利用しました。 病院でプロジェクトを始めるときに気をつける3つのこと いきなり本記事の結論ですが、病院でプロジェクトを始めるときに気をつけることが、3つあります。 プロジェクトの目的と大義を決めること 適切な関係者に事前に話をしたあと、キックオフミーティングを開催すること 参加者の積極性を高めるための、コミュニケーションの仕組みをつくること 病院では多くの職種、多くの部署、多くの委員会が存在し、いろんな立場や物の見方があると思いますが、上記3点は私の経験上共通して、気をつけるべきことといえます。 そもそもプロジェクトってなに? 気をつけること3つの詳細を説明する前に、プロジェクトの定義について説明させてください。 プロジェクトの定義は、以下の定義が病院でしっくりくると思っています。 プロジェクトを 2 つの要素で定義しています。「有期的であること」、そして「独自性があること」です。 「有期的」とは、文字通り、期日があるということです。その作業をいつまでに 終わらせなければならないかが決まっている。それが「有期的であること」です。 一方「、独自性」というのは、ほかの定常業務と比べて、何かしら新しい要素が加 わっ ているということです。これまでやってきた仕事の機械的な反復では済まない 作業。 それが「独自性がある」仕事です。この 2 点に適合していれば、その仕事は プロジェ クトであるといっていいのです。 (「Webプロジェクトマネジメント標準」より引用) 繰り返しになりますが、終わりがあって定常的に繰り返さない業務をプロジェクトといいます。 プロジェクトの例 上記の定義を読んでみたものの、小難しくてピンとこない、、、という印象を受けられると思いますので、いくつか病院内でのプロジェクトの例を出してみます。 病院の収支に影響を及ぼすほど、ある診療科の診療報酬の査定額が大きすぎるため、業務フローを見直すプロジェクト 病棟用のエコーがどこにあるのかわからなくなり、研修医が探し回って時間を浪費している問題を解決するプロジェクト CTやMRI、手術用ロボットなどの高額医療機器の購入が、集中してしまう年度があるので、購入を分散させるプロジェクト 上記にあげた例は、定常的な業務ではなく、独自色が強く複数部署にまたがる課題ですが、解決すれば平常運転にもどれそうなものが多いという印象ではないでしょうか。 では、プロジェクトマネジメントをする際に気をつけるべきこと3つを掘り下げていきましょう! プロジェクトの目的と大義を決めること プロジェクトを始める際に、一番はじめに行うのは、目的と大義を決めることです。 課題を無茶振りされ、振られた側は「院長に言われたから…」「事務長命令で…」と言いたいこともありますが、そこはぐっと堪えて、目的と大義を言語化し、プロジェクト化しましょう。 目的とは、プロジェクトの最終的なゴールです。 大義とは、プロジェクトを通してそのゴールを目指す理由です。 先に挙げたプロジェクトを例に、目的と大義を考えてみましょう! 課題:病棟用のエコーがどこにあるのかわからなくなり、研修医が探し回って時間を浪費している問題を解決するプロジェクト 目的:研修医が病棟でエコーを利用したいときに、すぐに見つけられる状態を作ること 大義:研修医の時間を無駄にしないだけでなく、患者にも素早く検査を実施できる。さらにはエコーという医療機器が決まったルールで管理されるので、MEがメンテナンスしやすく、用度課(物品管理課)が買い替えの際の調査が容易になる。 もしかしたら、「院長からの命で『研修医の先生が、病棟エコーが散らばってて困ってるからなんとかしてよ』というものだったとしても、上記まで言語化することが大切です。 適切な関係者に事前に話をしたあと、キックオフミーティングを開催すること プロジェクトの目的と大義を決めたあとは、まず関係者個別に、キックオフミーティングに向けて話をしましょう。 複数部門に跨る課題ほど、キックオフミーティングを開くハードルがあがりますが、何事も初めが肝心。 ときには「そんなことやるなんて、聞いてない!」という人が後から出てくることもあります。 そんなリスクを避けるためにも、事前の声掛けは重要です。 声掛けが終わったら、プロジェクトに関わる人に声をかけてキックオフミーティングを開催しましょう。 秘密のプロジェクトではない限り、キックオフミーティングは関係者であれば誰でも参加できる形にしましょう。 参加者や該当部署が当事者意識を持つことはとても大切です。関係ありそうな部署に声をかけて、できるだけ多くの方に、キックオフミーティングで目的と大義を共有しましょう。 参加者の積極性を高めるための、コミュニケーションの仕組みをつくること キックオフミーティングを開催する際に、一緒に決めておきたいのは、プロジェクトにおけるコミュニケーションの仕組みです。 コミュニケーションの仕組みとは、以下のようなものです。 プロジェクトの連絡、進捗共有、疑問・質問などは、TeamsのXXチャンネルを用いること 議事録は、会議後24時間以内に発信すること 議事録は、誰もがアクセスできる場所(Sharepointや共有フォルダ)にアップすること 会議ができるだけ、パソコンを投影し、リアルタイムに議事録を起こすこと ありがちなのは、月の第X曜日の、16:30-17:00 で開催。事務局は誰々さん、とだけ決めるケースですが、これではプロジェクトの参加者のコミットメントを高めるのは難しいです。 プロジェクトに関する情報を透明化することも重要です。コミュニケーションもオープンにおこなうことで、互いの進捗状況がわかることで、メンバーの各タスクが前に進みます。 また情報の透明性を担保すれば、コミュニケーションの効率性もあがります。コミュニケーションがスムーズに行えれば、それだけプロジェクトの成功確率も高まります。 たとえ、プロジェクトのメンバー間での立ち話や電話などで決まった内容でも、Teamsのチャットや関係者メールにその内容を共有するのが望ましいでしょう。 まとめ 今回は「病院でプロジェクトを始めるときに気をつけること」をテーマに、記事を書きました。 改めて、プロジェクトを始めるときに気をつける3つのことは、以下のとおりです。 プロジェクトの目的と大義を決めること 適切な関係者に事前に話をしたあと、キックオフミーティングを開催すること 参加者の積極性を高めるための、コミュニケーションの仕組みをつくること ひとそれぞれ、プロジェクトを始めるときの大事なポイントは違うかもしれませんが、この記事がどなたかの参考になったり、ご自身の仕事を振り返るきっかけになると嬉しいです。 参考文献 The National Cancer Institute's (NCI) Visuals Online. “National Cancer Institute”. Unsplash. https://unsplash.com/ja/@nci (2022.11.04) 林千晶、高橋宏祐. (2018) “Webプロジェクトマネジメント標準 PMBOK®でワンランク上のWebディレクションを目指す”. https://loftwork.com/jp/group/creative_project_management (2022.11.04)